大道幸之丞

さらば愛しき大地の大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

さらば愛しき大地(1982年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

「十九歳の地図」で興味を持った柳町光男監督作品。
彼はドキュメンタリー映画出なので、ドゥニ・ヴィルヌーヴ同様期待をしている。

一応実話が構想の一部であるようだが、脚本も柳町光男のほぼオリジナル作品と言いきって良いだろう。彼の生まれ故郷茨城県鹿嶋町が舞台。

根津甚八がコンプレックスだらけのダンプの運転主山沢幸雄を演じる。とにかく妬み・そねみ・卑屈な部分があり気が短く暴力的でもある。

そしてまだ30才手前の秋吉久美子がとにかく美しく可愛らしい。彼女の魅力で、極めて破滅的で、絶望的なこの物語を観る力を我々に与えてくれている。

簡単に言えば幸雄が家庭を壊し覚醒剤にも手を出し最後に勝手に子どもまで産ませた愛人順子(秋吉久美子)を殺してしまう物語だ。

余りに自分の本能に従順な幸雄を、観る者で男性はどこか心の奥で共感を持ち、女性は女性でこの幸雄にどこか憎めない魅力を感じるのではないかと思う。

「こういう親だから子どもがこうなった」とわかりやすい母親山沢イネ(日高澄子)と父親山沢幸一郎(奥村公延)夫婦もいい。

幸雄の本妻山沢文江(山口美也子)も生活感の中にさりげない色気がありそこそも存在感がある。

「観ておくべき映画」と感じた。