コマミー

秒速5センチメートルのコマミーのレビュー・感想・評価

秒速5センチメートル(2007年製作の映画)
4.0
【手に取れない恋と離れられない呪縛】

※Filmarksによる本作のリバイバル上映にて鑑賞



"離れ離れ"になった2人の少年と少女…

しかし、少年は彼女が忘れられず、少年自身も"鹿児島"に転校することとなり、「もう会う事が出来なくなるのでは」と感じ、彼女がいる"栃木県"に向けて、大雪の中電車に揺られ、会う事に…第一話「桜花抄」…少年と少女の「会いたい」と言う気持ちが、"少ない時間で交わされる愛"として交差する…。

そして、少年は鹿児島の離島の学校に転校する。そこで、"花苗"と言う少女と出会う…ここではこの"花苗の目線"で、少年の姿を追う…第二話「コスモナウト」…花苗が想いを寄せながらも、どこか"遠くにいる存在の少年"。「自分なんて眼中にないのでは?」と感じながらも、追い続ける花苗の顛末を描く。

そして、少年は"社会人"となり、舞台は東京に戻る。男はまだ、あの女の事が忘れられず、三年付き合った東京で出会った恋人とは実る事はなかった…第3話「秒速5センチメートル」…女も別のパートナーを見つけ、かつて子供だった2人の想いの果てをバラバラでありながらも一気に映し出す…。


"新海誠"監督の作品の中で最も好きな本作。
決してハッピーエンドとは言えない展開の作品ではあるが、貴樹と明里の今後を考えるならば「これでいい」と"踏ん切りをつけるため"の人生の中での一つのハッピーエンドとも見てとれるラストでもあると考えられるだろう。

いわゆる、貴樹と明里の「かつての自分」との別れを描いた作品…"呪いから断ち切る"までの物語だと考えると、凄い感慨深い作品だなと感じた。
私が本作が好きな理由はそこにあり、新海監督が描いたどの日常よりもリアルだなと感じた。
あと、"宇都宮線"沿線に住んでる私としては、知ってる駅や鉄道も登場したりと、その点でも馴染みやすい作品だ。

そんな本作を、私は映画館で見れて光栄に思う。
コマミー

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