ハルノヒノヨル

最強のふたりのハルノヒノヨルのネタバレレビュー・内容・結末

最強のふたり(2011年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

欧州の差別はアメリカとはまた違った雰囲気があるように思う。
今なお難民が多く流入する欧州、アメリカほど多く反差別運動のニュースは聞かない。
私が日本にいるからだろう。
ただ、たとえばイスラム教徒の伝統的な衣服を禁じる法案を出すなど不寛容に感じる法案で話題になったのはフランスだ。
人種そのものより文化に対しての排斥が目立ち、それだけコミュニティ間での隔絶があるのかもしれない。
人種も生活環境も文化も異なるだけでなく、身体的な物理的な差異の大きいふたり。
雇用人と被雇用人であり、被介護者と介護者。障害者と健常者。
ドリスはフィリップを障害者として扱わない。どぎついジョークやイタズラはするけれど、フィリップが障害者であるからという遠慮はしないし丁重にも扱わない。
それは彼の育ちが上品ではないからかもしれないし、彼の人となりがそうしたもの、障害を個性のひとつとして片付けて細かいことは気にしないからなのかもしれない。
どちらともわからないが、ただ彼らは生きていた。生きているから、毎日を楽しく面白いものにしようとする。
それは介護じゃなくて、友達だ。
フィリップには、動けない彼と一緒に毎日を楽しもうとするひとはいなかった。
フィリップの孤独な世界に彩りを与えたドリス。
彼らを隔てるものはなにもない。
ふたりが一緒にいた時間は短いものであったけれど、その思い出が色褪せることはないのだろうと思う。
ハルノヒノヨル

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