ハルノヒノヨル

行き止まりの世界に生まれてのハルノヒノヨルのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

DVという事象の根源を探るドキュメンタリー。
12年もの長きに渡る3人の少年を追っている。
そのうちの1人が監督のビン・リュー。アジア系だ。
残る2人は黒人のキアー、白人のザック。
人種の異なる友人関係にある3人を繋ぐのは、スケボーとDVだ。
ビンは義理の父親から暴力を振るわれていた。
キアーは実の父親から。
ザックは親から暴力を受け、やがて恋人に暴力を振るうようになる。
高い失業率により低賃金の仕事しかなく、酒とマリファナとスケボーしかない。
そして字もろくに読めないまま親になる。
日本でも、DV加害者となった親が子に執着するという話は耳にするが、彼らがなぜ執着するのかがわかったような心地がする。
また、暴力を振るわれていたとしても子が親を愛することは理解不能なことではないと。
同じような環境にあって親しくしていても、白人と黒人の間には厳然とした壁がある。
ビンが、キアーに自分を重ねていると告白したときのキアーの表情。自分の全てを理解してくれる友がすぐそばにあったことを改めて認識した喜びだったのだろうか。
DVは加害者の問題として単純には片付けられない。
すべての子どもが暴力のない世界で育つことができたらどんなにかいいだろう。
理想の実現は遠いことを痛感した。
ハルノヒノヨル

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