誤宗黒鳥

バットマン フォーエヴァーの誤宗黒鳥のレビュー・感想・評価

3.5
某芸人が90年代バットマンを評価し、昨今の深刻系バットマンに対して「子供達にバットマンを返してよ」とする意見が印象的だったので遥か昔の子供の頃におぼろげながら観た覚えがある本作を改めて鑑賞。やはりこの時代に90年代を観るからこその良さを感じる。

冒頭から俳優の名前をくるくる回して遊んだり、古いCGにゴチャゴチャした近未来的な装置に火を噴いてる割に全く速くないバットモービル、妙に小奇麗で市民もギャングもキラキラしてるゴッサムシティ…「ここ一応シリアスですよ~」という感じのブルースの過去演出などなど。ああ懐かしい。
こんな楽しそうにはしゃぐトミー・リー・ジョーンズは初めて見たし(何故トゥーフェイスになったかの背景を軽く流してるところに「全ては運だ」と何気に重い事を軽く言ってるのがいい)、「マスク」の勢いそのままのジム・キャリーにこのあたりの時代はどこでもいるよニコール・キッドマン(この人の右斜め前からの角度でお顔を何度見た事か)。ここには多分原点的な娯楽作としてのバットマンがあった。

昨今のスーパーヒーロー疲れはヒーロー物の量産と細分化、ハード面だけ共通して違う形で描く伝統芸能化をかなり短い期間で行った事によるのだろうが、娯楽的で明るく結構深刻なメッセージを潜ませる作品を、それを観て育った世代が懐かしの作品を「大人向け」に自分の主張を入れて再生産する行いは、実は親離れできていない子供みたいなものなのではないかとも思える。影響はもっと違う形で表現したほうがいいのではないかと。
まあこの手のリブート、リメイク量産はゲームでもかなりひどい形で行われてるが。スク●ニとかカプ●ンとか。
この時代に90年代を観る事で思わぬ形で癒された気分になった。
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