菜奈

レクイエム・フォー・ドリームの菜奈のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ラストが衝撃すぎて観た後しばらく呆然としてしまった。

簡潔にあらすじを書くと、若い男女3人と老人が違法薬物によって人生が狂う話。

表現が特徴的だった。
例えばヤクをキメた時瞳孔が開くところをアップにしていたのが特に印象深かった。

ストーリーは精神的に痛むほどどの人物にも救いがない。
老人のサラはある日電話でテレビ出演の依頼を受ける。そこで着ていくドレスのためにダイエットを決意する。最初は普通に食事制限をしていくが、辛かったため医者から食欲減退の薬を服用することになる。この薬が違法なものだったため、服用していくうちに体や精神にも支障をきたすようになる。ここの過程がキツい😭
最初は元気溌剌な女性だったが、のちに薬物に依存するようになったことで幻覚や幻聴に悩まされるようになり、最後は精神病院に搬送され、治療を受けるようになってしまう。この最後のサラの姿が最初とは一変、白髪になってしまい、表情も暗くなっていたのが観ていて泣きそうになった。
サラはテレビが大好きだったこと、中年の未亡人で、息子もなかなか会いにこないので孤独を感じていたことが相まってテレビ出演を夢見ている。息子のハリーが作中1度会いに来るけれど、それ以降はサラの元に訪れたことはなかった。ハリーがもう少し頻繁にサラに会っていたら違う結末になっていたのかな。
あと、精神病院に入ったサラのお見舞いに来た友人2人が泣いていたのも辛かった。というか、もう少し友人多くなかった?2人しか来ないのか…と思うとやり切れない😭
薬を勧めた友人の責任も重いよね。この時勧めなければと思ってしまった。

サラの息子、ハリーは友人とともに違法薬物を希釈したものを売りさばいて生活していた。ハリーもサラと同様夢をいだいていて、それは恋人のマリオンとお店を開くことだった。真っ当に働け!と思ってしまうが、途中で軌道修正するのって難しいのかなと考えてしまった。ずっと腕に注射して薬物を服用していたせいか、腕には深い傷ができてまっており、この傷がヘタなスプラッタ映画よりも痛々しかった💦ハリーはこの腕が使い物にならなくなったので切断されてしまうという最後を迎える。この腕を切断するシーンもキツい😭
途中のハリーとサラが会うシーンは感動した。こんなハリーだけれどサラのことは大事に思っていたことが分かつたので良かった。でも帰りのタクシーの中で薬物キメてるシーン(瞳孔が開くシーン)が入り、感動もなくなってしまった。

マリオンの最後も切なくなった。最初はハリーと愛し合っていたのに、ハリーが薬を手に入れられなくなると癇癪を起こしてしまうように。ハリーと店を持つことに希望を持っていたのにいつしか薬を売ったお金でハリーとお店を開くことではなく薬を入手することが目的になっていたのが恐かった。マリオンは薬を得るために自分の身体を売ることになる。最後、自分の身体を売って手に入れた薬を大事そうに抱くシーンは、これからもそうやって薬を入手し続けるのだなと思うと胸が痛くなった。

皆それぞれ夢を抱いていたけれど、薬物にとらわれてしまったために夢を叶えられず破滅してしまっていた点が「レクイエム」と題名に付けられている理由なのかなと思った。
菜奈

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