菜奈

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディアの菜奈のネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

心臓外科医である主人公・スティーブンは美人な妻に二人の子供に囲まれ、そして豪邸での暮らしという誰もが羨むような生活をしていた。ある日、前から気にかけている少年・マーティンを家に招いた日から悲劇が起こる…というのが簡単なあらすじ。

よく分からなかった箇所もあるが、どういう展開になるか読めず見入ってしまい面白かった✨️

マーティンを家に招いてからしばらく経ったある日、急に息子のボブが歩けなくなり、原因も分からないというのが怖い!
マーティンはスティーブンが自分の父親を殺したため、スティーブンも家族を1人殺さなければならないと告げる。このときのマーティンの表情が通常通りで淡々と言うものだから異常に思えてしまう💦
そしてマーティンは死の予言をする。それは、スティーブンの家族は次の三段階を経て死に至るというもの。まず手足が麻痺していく、次に食欲がなくなる、そして目から出血して死に至るという。
最初はボブだけだったが娘のキムにも同じ症状が出始めてしまう。
子供が次々不幸になってまい、追い詰められていく様子は、最初の幸せそうな情景とは全く異なっていて悲しくなってしまう。

スティーブンの家族の症状が悪くなっていくのも怖いが、それよりも人間の怖さの方が勝っていたように感じた。
特に子供2人と妻さえ自分が生きたいためにスティーブンに媚びを売るところは気持ち悪いと思った。しかし、いざ自分が死ぬような状況になればほとんどの人は生き残るための行動をするよなーと考えた。人間は皆汚いところというか黒い部分があるのだなと改めて思い知らされた。
妻のアナの言動には度肝を抜かされた。最初は子供のことを心配して尽くしているのに、しばらくすると子供はまだ産むことができるから子供を殺そうとスティーブンに告げるところが一番恐怖を覚えた😱
子供も然り。ボブは病気になるまでは言うことを聞かない子供だったけれど、死が近づくにつれてスティーブンの言うことを聞くようになり、将来はスティーブンのような外科医になりたいと言い、キムは自分がいかに良い子なのかをアピールする。
皆自分こそが生き残るのに相応しいかを主張していたのがとても印象に残った。

スティーブンにはこういった黒い心はないのかと問われれば、彼も同じように汚い部分がある。スティーブンはマーティンの父親の手術を担当したが、手術した日にお酒を飲んでいたことが判明する。しかし、少しだけだと言い、さらに責任は執刀医ではなく麻酔医にあると言い訳をする。ここからは自分の非を頑なに認めようとしないスティーブンの様子が伺える。

結局ボブの目から出血するまでスティーブンは誰を殺すのか自分では選ぶことはできず、ロシアンルーレットのような形式をとることにする。そして何発か外したあと、弾はボブに命中する。

そして最後、飲食店でマーティンと遭遇するが、スティーブンたちは誰も何も言わずに店を出ていく。
この時のスティーブン一家とマーティンの表情が印象的。スティーブンたちは憎しみとも悲しみともなんとも言えない表情をしていのがよかった。キムはマーティンに対してまだ未練があるような表情をしていたので、今後また彼と接触するのかな。
マーティンの表情は復讐をしてスッキリした顔でもなく微妙な表情だった。

映画を観て、なぜボブとキムは歩けなくなったのかが分からなかった。また、キムは病室の窓からマーティンを見つけるためにその時だけ歩けるようになるが、これも理由が分からない!
2人に変な薬を飲ませたわけでもなかったし……。
マーティンは神のような立ち位置なのかな?だから特に彼らに何かしたわけでもないのに病気に罹ってしまうし、キムが一時的に歩けるようになるのかな。
後半、キムが自分が歩けるようにマーティンに頼みに行くシーンがあるが、その時にも「もっと強く」みたいなこと言ってたような気がする。これもどういうことが分からなかったが、マーティンが願えばキムたちの症状がなくなるのか……。

こういった原因が分からない症状が起こるのが恐怖に繋がるとも感じた。
菜奈

菜奈