トシ

ゴジラのトシのネタバレレビュー・内容・結末

ゴジラ(1954年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

🎬ゴジラ🎬

Netflixにて鑑賞

公開日1954,11,03

監督#本多猪四郎

出演#宝田明 #河内桃子 #平田昭彦

【ストーリー】
太平洋の沖合いで船舶が次々に沈没する事件が発生。
数少ない生存者が、巨大な怪獣の目撃談をもたらす。
やがて人類の前に怪獣が姿を現し、島の古い言い伝えから【ゴジラ】と命名される。
その強大な力に人間たちは成すすべもなく、東京に上陸したゴジラは街を火の海に変えていく。

原点にして頂点、怪獣映画の歴史を変えた1本。

【テーマ】
単純な怪獣映画ではなく、戦争・核兵器の恐ろしさ、愚かさを訴えている作品としている。
そもそもゴジラが誕生の背景としては、
当時、ビキニ海上で行われたアメリカの核実験の巻き添えで日本の漁船の乗組員が被曝したことが大きな問題となっていた。

戦後10年を経たずに起きた【第三の被爆】事件に当時の日本人の反核感情が溢れ出てそうで、その思いや願い、怒りを作品に込めたのが今作の【ゴジラ】の誕生と言えるのである。

ゴジラ自身核のエネルギーを吸収して巨大化して口からは放射能を吐く、核の化身、核の申し子として具現化されたものがゴジラなのでしょう。

【ゴジラの演出】
冒頭ゴジラの足音と鳴き声で始まる演出はのちのシンゴジラで受け継がれているもの。
船の事故が続く中、姿を現さないゴジラ。前半で出てくるものの上半身が少し映るぐらいであとは逃げ惑う人や壊れる家を映すだけ。
そしてその壊れた家を見て泣き叫ぶ者達。。
この様に怪獣が出てきて暴れ回る、などという単純な映像でなく焦らすことにより恐怖感を煽ったり、被害者達の映像に重きを置くことでことの重大さ、悲惨さが凄く伝わる。
ゴジラではなく、その後や周りを映すことで恐怖感を出すのは凄い!
特撮とはいえ人間ドラマを重視する姿勢は大事であり、深みがある。

後半も銀座の街に現れたゴジラ、夜なのではっきりとした姿は分からず街を壊し続ける。
ここでも効果音の様に人の叫び声が響く中暴れ回る映像は60年前の作品とは思えない。。

【被害の悲惨さ】
ゴジラが銀座で暴れ、去った翌日の東京の救護所は悲惨な状況だった。
多くの人が亡くなり、生き残った子どもからは放射能の反応がある。
亡くなっていない母親を泣きながら呼び続ける子どもの映像。

これも今では考えられない映像。
見ようによっては戦争映画や戦時中の映像を見せられているのではないかと思ってしまう悲惨さは言葉を失う。

【芹沢とゴジラの最後】
政府はゴジラを殺す様に指示するが山根博士は殺す事は出来ないと訴える。

そんな中、唯一ゴジラを殺すことが出来る研究をしている男を突き止める。
【オキシジェン・デストロイヤー】を研究している芹沢という男である。

後のゴジラ作品でもたまに耳にする研究であり、水中の酸素を一瞬で破壊してしまう酸素破壊剤であり、使用することで水中にいる生物は窒息死するというもの。

本来ならコレでやっつけよう!的な流れだがコレを発明した芹沢の葛藤も描けている。
まずコレが世に出れば必ず悪用するものが現れるからという、だが結局資料を全て焼き、1回だけの使用を認める。

その結果芹沢は自分の身を投じてこんなものが2度と作られない様に、というメッセージも込めて自らもゴジラと一緒に犠牲者となるのであった。。

ゴジラが一概に敵と認識してすぐに攻撃に使おう。などの流れはなく、人間の手によって誕生してしまったゴジラに対しての苦悩や複雑な気持ちも乗っかっているので物凄く重い締めになっている。
単純な正義と悪の描き方ではないところも本作の見どころだろう。

【最後の言葉】
山根博士はラストに『あのゴジラが最後の一匹だとは思えない。もし水爆実験が続けて行われるとしたら、あのゴジラの同類がまた世界のどこかに現れるかもしれない……』と、今考えると続編への伏線かななどと考えてしまうが、これこそ核実験のこと、またその実験により生まれた被害のことを語っているのではないだろうか!

まだいるぞと!この悲惨な惨劇は終わらないし、終わりが見えないぞと、山根博士を通じてどこか強いメッセージが心に響く。。

【まとめ】
怪獣映画をここまで深く、強いメッセージ性をのせて描いた作品だったとは知らなかった。
ゴジラカッコいいなどと単純な感想はなく考えさせられる1本だった🎬😎
トシ

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