soramameton

ピアノ・レッスンのsoramametonのネタバレレビュー・内容・結末

ピアノ・レッスン(1993年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

とにかく絵になる作品。
オープニングの荒れた海を男たちに担がれて浜にたどり着く姿からエンディング間際のピアノと共に深青の海の底へと沈んでいく姿まで、ピアノの音色と相まってどこまでも美しい。

アイダの性格を理解するのはなかなか難しいが、五歳で自分の意志で話すのをやめ、声の代わりにピアノを弾き始めることで自分を表現する姿は、言葉には惑わされず本質で生きていることの表れなのかもしれない。物語の中で『他人の話には聞くべきことはあまりない』と語られている。

ヘインズに惹かれていくのはより理解できないのだが、浜辺に打ち捨てられたアイダの声ともいえるピアノを欲望のためとはいえ、アイダにとって必要なものと理解したヘインズの本質をアイダだからこそ見抜いたものなのだろうか。
アイダと夫のスチュアートが手を握る姿をあえてヘインズに見せつける姿が印象的だ。

そして何よりも娘のフローラの演技が秀逸だ。
無邪気さとかわいらしさを併せ持ち、子供でありながらも大人びた表情も時に見せる。犬を叱ったりなだめたりする姿が愛らしい。

あまり評価が高くないのが不思議な作品だが、殺人は平気だが不倫はダメなのは現実味があるからなのかなあ。
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