Miver2

ワイルド・アット・ハートのMiver2のレビュー・感想・評価

ワイルド・アット・ハート(1990年製作の映画)
5.0
‪時に容赦無い残酷さや醜さを描きながら、愛おしさと優しさと甘さが程良く溶け合って行く物語は、ニコラス・ケイジとローラ・ダーンの2人の演技と存在感と音楽の使い方があまりにも素晴らしくて、全てが最高だった。‬

物語自体は‪簡単に言えばチンピラとその彼女のロードムービーで、話自体はとてもシンプルだった。‬
‪2人が生きて来たその背景を丁寧に描いていたし、だからこそ2人でいるからこそ自分の人生を生きているというあの感じがたまらなく良かった。‬

‪醜さや残酷さや愚かさの中に美しさや優しさや尊さを見出して行くようなあの描き具合が素晴らしかったし、未来を見据えるからこそ囚われてしまうその苦しみとか、リアルでもあり、夢でもあるようなあの描き具合があまりにも素晴らしかった。‬

‪目黒シネマに行く前に、先日買ったサントラ聴いて行ったんだけど、あの曲があんな風に使われていたのには思わず笑ってしまったし、映画自体が時に「はあ?」みたいな感じになって思わず笑ってしまうあの不条理さ加減とか、あのクセの強さ最高だなと改めて思った。‬

‪人の下衆な所をしっかりと描きながら、芸術的に全てをまとめて行くデヴィッド・リンチの凄まじさを改めて実感せずにはいられなかったし、醜さの中にある純粋さや美しさ、デヴィッド・リンチ作品に脈々と流れ行く物を体感出来て素晴らしかった。

‪ニコラス・ケイジとローラ・ダーン演じるカップルから"好き"が思いっきり溢れて行く感じがたまらなく良かったし、2人が音楽を楽しむその姿があまりにも最高過ぎる映画でもあった。‬

‪場面と場面の繋ぎ方、その転換が見事だった所がいくつかあったり、ライブハウスでニコラス・ケイジが歌うシーンはあまりにも最高過ぎた。‬
‪しかしあの振り幅はなかなかないよね...(笑)‬

‪過去に囚われる苦しみやその物事をやってしまった過ちや後悔を感じて来たその先でやって来る物語の終わりには完全にヤラれた。‬
‪あれは力技過ぎて、強引だなとも思うんだけど、物語の全てを集約して魅せるその終わりがあまりにも最高過ぎたな。

‪デヴィッド・リンチ監督の脈々と流れ行く物や今後に繋がって行く所もしっかりと楽しみながら、デヴィッド・リンチのその世界観、芸術性を心ゆくまで楽しみながら、同時に俳優陣の演技と存在感を存分に楽しむ事が出来て、全てが最高でした。‬

今回「ワイルド・アット・ハート」を観て、デヴィッド・リンチ監督の長編映画を全て映画館で観れたので、とても嬉しい上映でした。
目黒シネマさんありがとうございました。
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