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フリークス(怪物團/神の子ら)のmidoredのレビュー・感想・評価

4.6
サーカスで働く小人症のハンスは美しいブラコン乗りに誘惑される。彼女の目当てはハンスの金だった。怪力男と共謀して影で嘲笑いながらハンスに金品を貢がせる彼女を待ち受ける恐ろしい運命とは…。

とにかくインパクトの塊でした。「フリークス」というより、サーカスのスター勢ぞろいといった印象でした。

小人症、小頭症、手のない娘、足のない男、手も足もない男、髭女、左右が男女に別れている人、吃音、結合双生児。

生き生きとユーモアたっぷりに紹介しつつ、差別され嘲笑される彼らの苦しみと団結力とパワーも描いています。「可哀想な人たち」として無力化することなく、彼らの魅力を肯定した描き方でした。

はじめこそびっくりするのですが、千差万別な姿で仲良く仕事をし、生活し、ロマンスを楽しむ様子を見ているうちに、小さいことにくよくよしていてもしかないなと、妙に癒されました。

口だけでタバコに火をつけたり、足だけで縫い物や食事をする場面には人間の適応力のすごさも感じました。

ただ、ハンスは被害者のような描き方ですが結構ひどい男ですね。優しい奥さんがいながら、どうどうと別の女に花を贈り、彼女と結婚できると見た途端に奥さんを捨て、結婚式に元奥さんを招くなんてとんでもないです。

ブランコ乗りの女がひたすら悪いという事でなぁなぁになっていたのは当時の女性差別的な価値観の反映だと思いました。ブラコン乗りの末路もその意味で不穏でした。
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