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ソニはご機嫌ななめのnetfilmsのレビュー・感想・評価

ソニはご機嫌ななめ(2013年製作の映画)
4.2
 冬のある日、しばらく姿の見えなかったソニ(チョン・ユミ)は突然大学を訪れる。紫のバッグを背負い、ラフな格好の彼女は学内でサンウ先輩(イ・ミヌ)に会う。チェ・ドンヒョン教授(キム・サンジュン)に推薦状を書いてもらうため、久しぶりに学内を訪れた彼女は、「先生は外国に行っているのでは?」というサンウの嘘に激昂する。ドンヒョン教授は明日の1時に再び来いと連絡する。ムシャクシャした彼女は学生街の「HOT SUN CHICKEN」でビールを頼むが、店員の「チキンも一緒に頼んで下さい」の言葉にまたもや激昂する。2階の窓際の席、横断歩道を渡るムンス(イ・ソンギュン)の姿を目撃した彼女は、2階から「ムンス、ムンス」と絶叫する。元カレで大学院生のムンスとの気まずい沈黙の後、酩酊した彼は「お前をテーマに映画を撮り続けるから」と彼女に言い放つ。元カノに冷たくあしらわれた男は、久しぶりに監督であるジェハク先輩(チョン・ジェヨン)に会いに行く。極度のスランプで脚本の書けないジェハクは、ヨンスの突然の訪問に苛立つが、馴染みの店であるカフェ「アリラン」に後輩を誘う。元カノへの思いが断ち切れない後輩に、ジェハクは「彼女の決めた道に従え」と優しく諭す。翌日、ソニは推薦状を受け取りに、再び学校に現れる。

 大学生と教授との三角関係を描いた『教授とわたし、そして映画』の後日譚とも呼ぶべき物語は、ジェハク先輩というもう一人の男を加え、うだつの上がらない男たちが、チョン・ユミ扮する魅力的な小悪魔に恋をする。ソニは、外国に行って、映画を製作するというステップ・アップのためにはどんな手段も辞さないヒロインでありながら、それと同時に内向的で協調性がなく、誰にも心を開かない面倒くさい女性としても描かれる(それゆえに今作にはソニの女友達が一人も出て来ない)。そんな心底同性に毛嫌いされるソニに、世代の違う3人の男たちは夢中になる。男たちの心情にトドメを刺す「遥かな故郷の道で」で始まる懐メロ歌謡、酒の肴として登場するチキン、2度登場するカフェ「アリラン」。孤独な男たちが酒やタバコに逃げるのとは対照的に、自分のキャリア・アップに余念がない自己中心的な女の心は、男たちの言葉から自分に役立つ部分だけを都合良く切り取り、摂取する。クライマックスの明政殿の描写の馬鹿さ加減には思わず笑みが溢れる。
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