ティオ

セッションのティオのレビュー・感想・評価

セッション(2014年製作の映画)
4.8
ミュージック作品としても人間ドラマとしても傑作
ジャスバンドにのめり込んで、恋人も家族も自分自身をも投げ打つ主人公の狂気がすごい

自分自身も過去に楽器を扱っていた経験はあるけれど、主人公アンドリューの様に手が血だらけになって、楽器に血が滴り落ちるまでに練習したことはない
ただの部活か人生かかってるかという違いこそあれ、あそこまでできる人もなかなかいないと思う

中盤の、事故に遭ってでも会場に向かうアンドリューの姿に恐ろしさを感じる
会場にちょうど入るところのBGMが、不快になるような不協和音なのも相まって怖い

鬼教師フレッチャーの復讐が、音楽を持ってして行われるのが怖い
自らが愛してやまないはずの音楽を凶器にしているのは、渾身の復讐だからか
それとも、音楽の中でしか生きていないフレッチャーには、他の復讐方法がわからないのか
いずれにしても、その復讐は主人公には大打撃だったし、その復讐を逆手に取って仕返しをする主人公も、フレッチャーと同じ穴のムジナなんだろうと思う

最後の会場で、父親に背を向けた主人公の姿が痛々しい
あの行動はまさに家族を捨て、バンドを選んだ象徴に他ならないから
舞台上の息子を見る父の目が、信じられないものを見る目なのも胸に迫る
ティオ

ティオ