Kuuta

ピクニックのKuutaのレビュー・感想・評価

ピクニック(1936年製作の映画)
4.0
都会の女と田舎の男がたまたま出会って結ばれかけるが突然の雨で断ち切られる(ほんと急に天気悪くなる)。図式的、寓話的な内容だが、例によって複数人が同時に動き、外ロケで背景の草木も揺れているからわちゃわちゃした多幸感がある。翌年公開のディズニーの白雪姫のよう。

単に美しいだけでなく、欲望が水面下で蠢いているのが今作の魅力。水面は油で汚れ、白と黒に反射している。指を食いちぎる魚が住む川を、滑るように船が進む。冒頭、川の流れにふと入り込む釣竿。都会の男は岸に留まって釣りに興じる。

少女の秘めた瑞々しさを「跳ね上がるブランコの官能性」で描く切れ味、自由はブランコの上にしかなく、彼女は枝の上の鶯を見上げて泣く。取り残された男はタバコを口に、立ち昇る煙を目で追うことしかできない。フレーム外に断ち切られる目線や動作の反復など、エピローグで一気に普通の映画っぽくなる。
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