なお

サマリアのなおのネタバレレビュー・内容・結末

サマリア(2004年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

久しぶりのキム・ギドク監督作品✨

定期的に摂取したい”ギ毒”だけど、なにしろ亡くなっちゃってるんでね💦
観れる作品には限りがある。
綺麗に並べられたチョコを大切にひと粒頂く感じ…毒入りだけど。

あらすじ…(結構書いちゃってま〜す🙇‍♀️)
ヨーロッパ旅行に行くお金を集めるために、チャットで知り合った男たちと援助交際をする女子高生ヨジンとチェヨン。

男たちに身体を売るのは天真爛漫なチェヨン。
(この子『弓』に出てたハン・ヨルムちゃんだ!)

一方のヨジンはホテルの外で見張り役。
男はみんな薄汚いと思っているヨジンだけど、チェヨンが心配でついて回ってる感じ。

ある日、警察の突然の見回りで窓から飛び降り命を落とすチェヨン。
ヨジンは追悼の意を込めて、チェヨンと関係があった男たち1人1人に会い、寝て、お金を返す。

偶然にも娘の行為を知ってしまったヨジンの父親は(もちろん経緯は知らず)、男たちに怒りと憎悪をぶつける…。

最初は控え目だったお父さんの怒りがどんどんエスカレートしていくのが可笑しくて哀しい。
その描き方はとても残酷。
で、どう見たって娘が自発的にやっている事なのに肝心の娘には何も言えず。
そんなお父さんがある日…。

面白いとゆう言葉は不適切かもしれないけど、面白かったです。
コレ↑ギドク作品のレビューに何度も書いてるかも😂
罪悪感の言い訳みたいなやつね笑

援助交際は良くない事のはずなのに、2人の少女の無邪気さと友情、そしてジムノペディの音色が全体的な雰囲気をゆる〜くさせている。
父親が絡んできてからは暴力的な描写が増えるにも関わらず、なんだろう、この何事もなかったかのような空気感は。
でも毒は確実にじわじわと身体中を駆け巡る。


今作は三部形式。

寝る男を次々と仏教信者へと変えていったインドの伝説の娼婦の名前を指す第一部「バスミルダ」。

チェヨンに先立たれたヨジンが男たちをひとりひとり訪ね、寝て、お金を返して行く第二部は聖書からとられた「サマリア」。

父と娘との親子関係へとシフト・チェンジし、交響曲の三部形式の名である第三部は「ソナタ」。
ソナタは韓国の大衆車でもあるらしく、ギドク監督によれば一般常識を持った成人をも意味しているそう。
(分かったようで全然分かりません😂)


ラストの父親の決意は胸に刺さります。
罪と贖罪…遠ざかる車のシーンは『嘆きのピエタ』を思い出す。
あそこまで凄惨じゃないけど。


2004年ベルリン映画祭銀熊(最優秀監督賞)受賞🏆
なお

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