T太郎

シン・ジョーズのT太郎のレビュー・感想・評価

シン・ジョーズ(2016年製作の映画)
3.0
984
サメ映画だ。
今や映画界の一大ジャンルを形成しているとも言えるサメ映画である。

スピルバーグ監督の「ジョーズ」はサメ映画の嚆矢にして頂点だ。
その後、様々なサメ映画が作られてきたが、元祖を超える物は未だ出ていない。(私調べ)

この作品はどうだろう。
邦題ながら“シン・ジョーズ”というタイトルを冠しているのだ。
無謀というか、身の程知らずというか、チャレンジャーというか・・・
期待値は否が応にも高まるのである。

だが、開幕数分で鋭敏な私は、この作品の全てを見抜いたのだ。
これは・・・超低予算映画だと。

たまに掴まされるこの手の映画。
何かしらジャンル名があるのだろうか?
明らかにハリウッドのメインストリームから外れている種類の低予算作品なのだ。

鋭敏な私は瞬時にそれらを理解するとともに、全く期待する事なく物語を追っていったのである。

するとどうだ。
いつの間にか私は、物語に引き込まれていたのである。

おおまかなストーリーは、元祖「ジョーズ」を踏襲しており、由緒正しきサメ映画の体裁をなしている。

唯一違うのは、サメが放射能を帯びているという事だ。
この放射能汚染に関するあれこれに工夫の跡が見て取れるのだ。

科学的知見に基づいているとは、とても思えない描写の数々。
並びに、矛盾点。

CGを使用しているのかさえ定かではないが、特殊効果技術の稚拙さ。

主要な登場人物たちの非常にあっさりとした退場場面。

言いたい事は山ほどあるが、それらを補って余りある・・・ないか。
ないけど、まあスリリングな展開は楽しめたのだ。

ラスト近くの怒濤の展開は必見・・・ではないけど、なかなか楽しめたのである。

さらに、コメディ場面がちょいちょいあり、観客を笑いの渦へ巻き込んでくれるのだ。
・・私は笑わなかったが。

そんな映画である。

しかし、この思い切った邦題は実に罪作りだと言えよう。
あの不朽の名作に、流行りの“シン”を加えたタイトルをつけるなど、確信犯的な詐欺行為だと言われても仕方ない。

まあ、昔からあった手法だ。
現在まで連綿と受け継がれてきたこの手法。
あの手この手で人々を騙くらかしてきたこの手法。
もはや伝統芸能の域に達しているといっても過言ではないのだ。

だからこそ、映画好きを自認する人ほど、この手に引っかかる事はないのである。

庵野秀明やスピルバーグとは一切無関係なこの作品を期待に胸膨らませながら借りる事などあり得ないのだ。

もし、そんな人間がいたとすれば相当な間抜けであろう。
親の顔が見てみたいクラスの間抜けだと言える。
大手を振って町中を歩かないでいただきたいものだ。

猛省を促したい。


・・・今、猛省中です。
ごめんね。
T太郎

T太郎