このレビューはネタバレを含みます
弱い人が好き
2024年映画8本目
ゴージャスな撮影と美術。
人間の醜い部分を歪な角度で切り取る。
何と言っても前から奥に、奥から前にとぐんぐん動くカメラが楽しい。シンメトリックな男性の衣装、魚眼レンズのような横移動も最高。
撮影はロビーライアン。『C'mon C'mon』『Marriage Story』そして『Poor Things』も彼。つまりは『Poor Things』を観るにあたって本作は前作(長編という意味で)という位置付け以上に重要な作品のようにも。
ユーモアというより、シュールめな寓話のような趣も、3人の演技により、強固かつ切なるものに。コールマンの演技もさることながら、ラストシーンよりも最後の手紙を焼く一連のシークエンスが好き。彼女たちの感情のやり取りの顛末。そして、娼館は描けども、戦争のシーンを撮らない。非常に意図的。これは女の物語。好きか嫌いかで言ったら嫌いだけど、無視のできない作家。