矢崎

血を吸う粘土の矢崎のレビュー・感想・評価

血を吸う粘土(2017年製作の映画)
5.0
特殊造形・特殊メイクのプロによる映像作品というわけで、とにかく何か変なもの凄いもの見たことがないものが見れるのではと期待していたが意外にも物語としても面白かった

まず、出てくる人々が見事に気の毒で、残念で、ホラー被害者として清々しく見捨てられるキャラ造形がとてもいい!
(根っからの善人や全く非のない人物が可哀想なことになる展開は心が痛むので)

そもそも田舎の個人予備校から東京の有名美大に受かる可能性の時点で厳しいものがあるのに、女4人男1人の環境でナチュラルに二股を楽しむ男子が出てきて盛大に笑わせていただいた
真面目にやる気がある女子や塾長にとっての罠でしかないだろ彼

作中の集中講義で都内のレベルに触れて井の中の蛙を痛感する場面は美大受験関係なく都会以外に住んだことがある人間として胸が痛くなったけど、
遅かれ早かれ夢破れるんだろうなーと想像できる若者たちなので阿鼻叫喚シーンも笑って見ていられる

本命のクリーチャーは登場からしばらくの全体像がわからない時期が一番不気味で恐ろしく、カカメという名と形と経歴が判明してからは恐怖よりパワー系の面白さを感じたけれど、やはり作り手がその道のプロなだけあってやりたいこと色々詰め込みましたという要素の多さがとても良かった

振り返ればどうも東京そのものというより、輝かしい「東京という概念」への憧れやコンプレックスが強い人々による度を超えたラブコールがから回った結果の悲劇を見た気がする
何も知らずに「現実の東京」で生きていた人たちにしたら迷惑極まりないね!
矢崎

矢崎