このレビューはネタバレを含みます
フィン・ウルフハード演じる少年ボリスのキスシーンが目当てである。
物語は、メトロポリタン美術館での爆破テロ以後の主人公テオの人生を、レンブラントの弟子であるファブリティウスの『ゴシキヒワ』に焦点を当てて描いている。ファブリティウスの死と、物語での爆破テロを重ねているのが面白かった。しかし話自体がひどく重い。
絶対に戻ることのできない過ちと、ひたすらに堕ちていく絶望感。袖に着いた血がそれを象徴している。
ハッピーエンドとは言い難いが、あれほど執着した母親の影を鮮明に思い出すことができたのが唯一の救いだったと思う。
いやでもやはり……。結局私には、挿入歌だったRadioheadの『Everything In Its Right Place』を通した、孤独者の快楽と静かな絶望に全てを持って行かれたような気がする。