一人旅

ファヒム パリが見た奇跡の一人旅のレビュー・感想・評価

ファヒム パリが見た奇跡(2019年製作の映画)
4.0
ピエール=フランソワ・マルタン=ラヴァル監督作。

バングラデシュからフランスに渡りチェスのチャンピオンとなったファヒム・モハンマド(2000-)の実話を、俳優としても活動しているピエール=フランソワ・マルタン=ラヴァル監督が映画化したノンフィクション映画です。

政治難民として母国バングラデシュからフランス・パリに父親と共に国外逃亡した天才チェス少年:ファヒムの数奇な実話の映画化で、フランスのチェスのトップコーチ指導の下、同年代のチェス仲間達との切磋琢磨を経て、チェスの全国大会へと挑んでいく少年の波乱の道のりを描いています。

鬼指導で教え子を鍛え上げるチェスコーチとの師弟関係や、難民許可がなかなか下りず次第に意気消沈していく父親との親子関係、少年の境遇を理解し手助けしてくれるチェスクラブの女性スタッフ&子どもたちとの交流…と難民父子を取り巻く人々との人間ドラマを織り交ぜつつ、人生を賭けた対局へと臨んでいく少年の姿を映し出しています。

『ボビー・フィッシャーを探して』(93)や『完全なるチェックメイト』(15)のようにチェスのスピーディーな競技性と、行き場のないバングラ難民親子を巡る数奇な物語を両立させたノンフィクションドラマの佳作で、熱血コーチを演じた名優:ジェラール・ドパルデューが貫禄の存在感を放っています。
一人旅

一人旅