ティオ

ミナリのティオのレビュー・感想・評価

ミナリ(2020年製作の映画)
3.5
自分には正直あまり刺さらなかったけど、同じような境遇の人には刺さる話だろうなと思った
他国に移住した人、事業が上手くいかない人、介護に直面している人ーーそういった人々は共感できるだろうと容易く想像できるほど、地に足のついた現実的な作品だった

個人的に面白いなと思ったのは、これはよくあるような挫折や失敗の物語ではなく、妥協する物語だというところ
アメリカのやり方に従う、このままこの土地で暮らしていく、そういった各々が許しがたく、反発していた事柄を、最後には受け入れている
でもその受け入れ方は、納得しているのでも強制されているのでもなく、まぁ仕方ないなというような、諦めの感情を伴っているのが伝わって来るものだった
“妥協”は、多かれ少なかれ結構な人が経験するものだから、そこも共感を呼んで、大きく評価されている一因なのかもしれないと思う

あとはやっぱり、アカデミー助演女優賞を受賞した“おばあちゃん”ユン・ヨジョンの演技がいい
前半のあっけらかんとした人物像からの、後半の呆けてしまった様子が、振れ幅が大きくて痛々しい
ティオ

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