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秘密の森の、その向こうのpsychocandyのレビュー・感想・評価

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)
3.8
「燃ゆる女の肖像」のセリーヌ・シアマ監督・脚本の作品。中年男の私が言うのも何ですが、すごくチャーミングな作品でした。

森を舞台にした、イソップ童話にでも出てきそうな寓話的、幻想的なストーリー。そして、何といっても、作品の中心的存在である2人の少女が何とも愛らしい。大概の子役は、必要以上に過剰な演技をするのが常ですが、この2人は大人顔負けのクールで落ち着き払った演技。この抑制的な「平熱感」が、作品全体が醸し出す神秘的な雰囲気にすごくマッチしてて、だからこそ時折覗かせる子供らしい無邪気な笑顔も余計にチャーミングに感じます。ネリーがお父さんの髭剃りを手伝うところなんて、世のお父さん達にとっては堪らないシーンでしょう。かわいすぎる…。孫にしたい。

とにかく作品全体を包み込むような優しくて温かい雰囲気が素敵すぎて、いつまででも観ていられるような作品でした。2人の少女のジャケットも、神秘的な邦題タイトルも、73分というこぢんまりした上映時間も、何から何までが可愛らしい。センス100点の映画です。
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