のわ

べイビーわるきゅーれののわのレビュー・感想・評価

べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)
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「意外性」とは映画がもつエンターテインメント性に深く関わっている。いわゆる「どんでん返し」に向かっていく映画があるとして、その過程がありきたりな凡作であったとしても筋の通った物語の落ち(どんでん返し)があるとするなら、おそらく僕は「面白い」と声をあげてしまう。個人的に「映画は細部が重要」と考えている節があるが、そんな考えを前にしても「意外性」は僕の心を揺さぶる力がある。本作もまた、「意外性」によって僕の心をしばらく揺さぶっていた。

銃を巧みに扱う彼女たちがバイトの愚痴やアニメの話をする姿に笑みを浮かべてしまうのは、大枠として緊張と緩和という仕組みが存在しているが、その仕組みを注意深く紐解いていくと、「意外性」がおそらく潜んでいる。

ちさと(髙石あかり)とまひろ(伊澤彩織)が殺し屋としては優秀だが、表社会の住人としては2人には難しいことだらけで奮闘していく姿はすごく親近感が湧く。2人だけの空間に2人だけの会話なのに僕にも話しかけているようで、なんだか面白い。そのような殺し屋が日常に溶け込んでいる時間、空間を眺めながら本業の時の2人の目の色はなんだかすごく綺麗だと思ってしまう。もちろん、その綺麗な瞳で人を殺しているのだけれど

映画を見たあと、その映画の予告を見るというのがいつからか習慣化しており、その時間が結構好きだったりする。予告を作った方が何を伝えたかったのか、僕が映画を見て感じた印象と同じかを確認している。そして、違う印象を受け取った本作はおそらく、まだ何か語っていた。そういう意味では、本作が持つ「意外性」はまだ本領を発揮していない。
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