のわさんの映画レビュー・感想・評価

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映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)

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幸福は創造の敵


やがて就職活動を終え、無事第一志望の所に内定をもらったことに安心と喜びを感じながらも、ある程度自由で楽だった学生生活もあと一年を切ったことに寂しさを感じる。

小学校と中学校ではお
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イコライザー(2014年製作の映画)

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殺すにも殺されるにも、もっともらしい理由がいる。


行動に移すには強い動機がいる。他者に影響を及ぼすなら、なおさら勇気のいる行動になるわけで命を奪う行為にはそれに相応しい動機が必要になる。「映画はエ
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ガルヴェストン(2018年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

儚いから綺麗とか言った。


朝、目が覚めたら僕は泣いていて、雲1つない空にどこか期待しながら、親の運転する車の後部座席に乗り込み、親に見つからないように、またひとしきり泣いて、やがて校門をくぐる。そ
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フォレスト・ガンプ/一期一会(1994年製作の映画)

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花火が永遠ならよかった


「言葉に出来ない美しさ」っていうのは、きっと「言葉にしてはならない美しさ」という思いが必ずどこかに存在している。当てはまる単語がいくつもあり、その全てを書き出してみても、き
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さよならの朝に約束の花をかざろう(2018年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

僕たちは願わずにはいられない。


僕たちは生と死を繰り返す螺旋にとらわれ続けている。その循環から逃れることはできず、決して壊すわけにはいかない。でももし、その循環の輪に入ることが叶わないのに感情をも
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ガタカ(1997年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

私信:青乃雲様へ


かつて、そして今も愛している。青乃雲さんがお書きになった「ガタカ」のレビューを少し思い出して、僕なりのこの映画の感想を少しお伝えさせてください。

不完全な僕だからこそ、あなたの
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リズと青い鳥(2018年製作の映画)

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彼女たちが童話「リズと青い鳥」を見つめたように僕もまた、彼女たちを見つめていた。


昔から音楽が好きだった。小学校の作文では将来の夢にアーティストになる。なんて書いて、ミュージカルだって好きで、「竜
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幸せなひとりぼっち(2015年製作の映画)

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人生最大のライフイベント


高校生から「死に向かっているなにか」というものがすごく怖くなった。生物の授業では震えながらずっと耳を塞いでいたし、自動車学校の救護の授業なんて頭がおかしくなりそうだった。
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マイ・インターン(2015年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

灰色のスーツがとても似合う


着なれないシャツに袖を通してジャケットを羽織り、行きたくもない企業説明会に行く。僕もそんな年齢になったんだなと少し寂しく思うようになった。成人式の時に灰色のスーツが個人
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チャーリーとチョコレート工場(2005年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

この映画のいろんな方のレビューを読ませていただく中で「狂気的で良い」と書く方が結構見られた。僕は決まって困惑する。それは僕自身、本作を見て「狂気的だな」なんて思ったことは一度もない。しかし、「映画は対>>続きを読む

真珠の耳飾りの少女(2003年製作の映画)

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フェルメールが少女を描いたとは少し違う気がする。少女がフェルメールに筆を握らせたという表現が僕のなかではしっくり来る


別の魅力を持った愛おしい男性が2人、揺れ動く彼女の心が表情を通して僕に語りかけ
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べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

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「意外性」とは映画がもつエンターテインメント性に深く関わっている。いわゆる「どんでん返し」に向かっていく映画があるとして、その過程がありきたりな凡作であったとしても筋の通った物語の落ち(どんでん返し)>>続きを読む

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破(2009年製作の映画)

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「奇跡」って言うのは言い訳だ。どうしようもない状況で、なにもできない自分を抱えても「どうにかしてやる」って思いだけが存在してるなら、もうすべてが奇跡って言い張るしかない。


新劇場版エヴァンゲリオン
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ターミナル(2004年製作の映画)

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人が持つ魅力とは


作品が持つ魅力とは、観客一人一人がすべて享受できるほど表面的なものではない。僕らが見ている映画はおおよそ二時間を通して美しさの一片にそっと触れただけであると個人的に思っている。だ
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ブラック・スワン(2010年製作の映画)

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狂気の非可逆性


心身二元論で僕たちを説明した場合、僕が考えるに体と心は虎視眈々と互いを狙いあっている。心は体を、体は心を自分の物にしまいと寝首を掻こうとしている。ニナ(ナタリー・ポートマン)は心に
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Summer of 85(2020年製作の映画)

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性別なんてないみたい


16歳と18歳の恋愛と聞けばなんとも初々しく、プラトニックである。僕のなかでそんな先入観がある。しかし、実際のところ彼らは僕たちが思っている以上に大人びているし、苦しんでいる
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勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)

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不完全だからこそ美しい


スポーツ、芸術、音楽、僕たちがそれに引き寄せられたきっかけが、おそらくは存在する。そして、細かく見てもそうした仕組みは存在している。僕がロマンス映画を、映画のジャンルとして
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ライトハウス(2019年製作の映画)

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思い出を呼び覚ます装置

僕のなかで映画とは「思い出を呼び覚ます装置」としての側面がかなり強い。どの時期にどのような映画を手に取るか僕はすごく考える。だから、映画を見る時間よりも映画を選ぶ時間の方が自
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泣きたい私は猫をかぶる(2020年製作の映画)

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原風景から連想させられる心象風景


猫を被る。それは他者と関わっていくなかでおそらく、獲得するであろう最も外側に位置する防衛機制だと思う。僕も中学生の頃は本音は隠すものだと思っていた。「雄弁は銀、沈
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何者(2016年製作の映画)

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ミクロな死を毎日示されているような

ぼくが映画を見るとき重要視していることは、自分の現状とできるだけ近いものを手に取るようにしている。それは、大学に入りたての頃「桐島部活やめるってよ」を見たときの衝
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グリーンブック(2018年製作の映画)

5.0

金品目的の窃盗犯は彼の引く旋律も記す詩の一行だって盗めやしない。


差別と戦うために差別の激しい南部へのコンサートへ向かう。ふたりのロードムービーは黒人のためのガイドブック「グリーンブック」を頼りに
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サイダーのように言葉が湧き上がる(2020年製作の映画)

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花火背に
聞こえてくるのは
震え声

自身に不足しているものを補うのではなく、受け入れて、それを個性と彼らが呼ぶなら彼らの歩む道はきっと希望に溢れている。だけど、野生と自由が異なるように、生まれつきの
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心が叫びたがってるんだ。(2015年製作の映画)

4.5

神様も赤ん坊の時代


自身の発言のせいで両親の離婚を招いた主人公の順、幼い心には到底背負いきれない罪を背負うことになり、玉子の妖精に喋れなくなる呪いをかけられる。そんな彼女の本心を唯一伝えるのが歌う
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秒速5センチメートル(2007年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

「美しさとは背反を伴っている。」

僕の尊敬する人が以前言っていた。僕が本作を見た時、ようやく、あの方が何を言わんとしていたか理解できた気がする。

鮮烈な初恋に胸を焼かれ、身体を震わせながらもお互い
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余命10年(2022年製作の映画)

4.5

またひとつ季節を超えて


僕らが必死にしがみついている幸せとはなんだろう。僕がこの映画について思い出す時、しきりにそれについて考えることになる。幸せは相対的なものではなく、絶対的なものであり、その定
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僕のワンダフル・ライフ(2017年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

名前を呼べば、あの日のまま蘇る

見る人のよって見方や評価がガラリと変わる本作は、人間と犬、言葉を用いない特殊な関係性で芽生える恒久的な絆を描いた。

 僕は犬を飼っていない、昔飼っていたが、物心着く
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もののけ姫(1997年製作の映画)

5.0

初めて見たのは恐らく小学生だったと思う。当時何を思ったかは覚えていないが、何故かジブリ作品の中でも1目置いていた。そして、18歳の時に改めて見た時の衝撃は今でも覚えている。

人間社会を知りながら、ど
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ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(2012年製作の映画)

5.0

映画と現実の線引きすら覆そうとしたのか

エヴァンゲリオン新劇場版シリーズ3作目にして、最難関である本作は映画であって映画では無い。現実とフィクションを織り交ぜる映画は数あれど、その中間を描き、映画の
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愚行録(2017年製作の映画)

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淡々と事実のみを伝えるよう、人間性においての感情を差し置いて、冷徹なスタンスのまま一定のリズムで描写し続けたある種全ての愚行録。観客はどう受け止めるのだろう。見た人が何を思うか、僕は気になってならない>>続きを読む

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序(2007年製作の映画)

4.0

碇シンジが瞳に宿しているもの 


オーケストラを起用しメインカルチャーの恩恵を受けながら当時、 オタク文化アニメからの脱却を試みた。

本作を見ているとオイディプス神話のことを考えてしまう。

碇シ
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ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

本作は、冒頭から2本の軸を提示される。1つは、結末から始まる軸、次に事の発端から始まる軸。僕たちが辿るのは事の発端の軸。そして、本作を見ていくとわかるのだが、最終的に2つの軸は1つの軸から成り立ってい>>続きを読む

ウォンカとチョコレート工場のはじまり(2023年製作の映画)

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ファンタジー映画は僕たちが生きる世界と乖離がある。そして、乖離が大きくなるにつれ、僕たちの生きる世界との結びつきは薄くなり「荒唐無稽な映画」なんて言われたりする。ここで言う「荒唐無稽な映画」とは、おそ>>続きを読む

ウインド・リバー(2017年製作の映画)

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血が少しも無理な僕にとって本作は苦手なジャンルと位置づけることは簡単だが、本作はそうはいかなかった。自傷シーンは僕が1番苦手なシーンだが、あれには大きな意味があった。本作の土地のことをよく知らない僕は>>続きを読む

神は見返りを求める(2022年製作の映画)

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優しさはその価値がわかるものだけが、受け取る権利がある。

底辺YouTuberとして頑張るゆりだが、周りから神といわれるほど情が厚い男性と出会い、創作活動が楽しくなる。登録者数を伸ばそうと、神とは離
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マスカレード・ナイト(2021年製作の映画)

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本作は前作「マスカレードホテル」の続編である。前作同様、ホテル内で殺人が起こると予想され、警察官のキムタクが潜入捜査することになる。ホテルに訪れる人は仮面を被っている。前作から口癖のようにいわれる言葉>>続きを読む

パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々(2010年製作の映画)

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「今までいちばん面白かった映画は何?」と聞かれると困るというのは、映画が好きな人たちの間では「あるある」になっている。僕はその時に「インターステラー」と言うと答えを決めているのだが、本当に今まででいち>>続きを読む

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