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40年以上も新作を発表していなかった老作家と倒産寸前の出版社の若き女性社長が主人公の心暖まるヒューマンドラマ時々コメディだ。
私は本が好きなので、作家や編集者の苦労話は割と知っているつもりだ。
文学賞を受賞して華々しくデビューした作家などは、受賞一作目の執筆には非常に苦しむらしい。
・・・人によるけどね。
満を持して発表した作品が、批評家にコテンパンに酷評されて落ち込む事もあるらしい。
・・・人によるけどね。
編集者側も気難しい作家や遅筆な作家を担当した時の苦労話を聞いた事がある。
この作品はそんな本の出版に関する物語だ。
ルーシーは父親から受け継いだ出版社を経営している。
なんとしてでも存続させたいと思っている。
だが、現状は絶望的だ。
出版する書籍はことごとく売れず万事休す、買収の危機に瀕しているのだ。
そこで目をつけたのが、ハリス・ショーという作家だ。
なんと40年以上も新作を発表していないという伝説の作家なのである。
しかし、出版社を救うには彼に全てを託すしかない。
よし、やったるで!
という訳でルーシーは老作家のハリスとタッグを組んで、新作の売り出しに奔走するのである。
しかし、このハリスという男が一筋縄ではいかないヘンコなじいさんなのだ。
非常に露悪的で人嫌いでへそ曲がりなのである。
当然二人はたびたび衝突する。
ハリスは全くやる気を見せず、物事を混乱させるだけなのだ。
そんな二人が最後は一発逆転・・・・
とはならない。
ハリスは最期までヘンコなジジイなのである。
ルーシーとハリス、この二人の邂逅が最終的にどのような化学反応をもたらし、ほっこりする結末を迎える事になるのか。
どうかその目でご確認いただきたい。