vivoさんの映画レビュー・感想・評価

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汚名(1946年製作の映画)

2.0

なんだか間抜けが揃って間抜けなミスを重ねる物語だった。全く危機を凌げてないのに凌いだつもりになっている間抜けさに驚いたが、結局は別の間抜けのおかげで助かるという。しかしながら、ザ・絶望という雰囲気のラ>>続きを読む

大鹿村騒動記(2011年製作の映画)

4.0

残しておきたい姿を記録したような作品だった。民俗芸能や素朴な山村の暮らし、そして役者の顔。ベテラン役者たちが織り成す悲喜劇に不思議と心が安らいだし、こんな不格好で優しい世界が続くことを願ってしまった。>>続きを読む

ゴジラ(1954年製作の映画)

3.0

大胆な都市破壊描写、反戦メッセージ、唯一無二のゴジラの造形と印象的なテーマ曲。その後長く継承される物語のフォーマットを確立した作品として素晴らしい。近年はヴァース化による創造世界の拡張が流行っているが>>続きを読む

異人たちとの夏(1988年製作の映画)

3.0

とても不思議なことをスッと受け入れる導入部分が心地よかった。そんなこともありえると思わせてくれる雰囲気に優しさを感じたからかもしれない。こんな超常現象が起こらなくても、盆が訪れるたびに死者を弔うことで>>続きを読む

MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない(2022年製作の映画)

3.0

気楽に楽しめるシットコム。タイムループという王道フォーマットを巻き込まれる側から描くという発想の転換が面白い。お仕事ドラマとしても爽やかだった。

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

5.0

迸るセンスに彩られた壮大な大人の御伽噺。教訓があるとすれば、変わり続ける意志と行動力の大切さだろうか。しかし、何を伝えたいのかなど全く気にならないほど魅力が詰まった映画だった。テンポよく新しい刺激が訪>>続きを読む

乱世備忘 僕らの雨傘運動(2016年製作の映画)

3.0

未来のことを真剣に想像し、必要な行動を起こすことができるのは大体若者だ。人生の後半に差し掛かって以降の人間は、なんだかんだで悪すぎではなかった半生の環境や、あるいは昔よりはましな今の環境による無意識の>>続きを読む

蛇にピアス(2008年製作の映画)

4.0

理由なき虚無感の中で、痛みだけが確かな実感を与えてくれる。そんな世界を、自分の中には違う形で存在する公約数的な感覚を探りながら体験する時間だった。主人公の感覚に説得力を与える吉高由里子の退廃的な空気感>>続きを読む

十二人の怒れる男(1957年製作の映画)

5.0

単純にものすごく面白い。12人の会話だけで進行する密室ドラマという大胆な舞台設定、一つひとつ崩される証拠、そして語る言葉や態度から炙り出されるそれぞれの男の背景や生き方、そのどれもに高揚した。間違いな>>続きを読む

トレーニング デイ(2001年製作の映画)

4.0

デンゼル・ワシントン演じる刑事の人間性を丸一日の出来事を通して解いてゆくという面白い角度のミステリー。彼は正義を持っているのか、その正義は間違っているのか、見方によっては正しいとも言える正義なのか、そ>>続きを読む

スパイの妻(2020年製作の映画)

4.0

夫と運命を共にしたい妻と、妻を巻き込みたくない夫の知恵比べ、と言っていいようなカジュアルな題材ではないが、その二人の駆け引きに引き込まれる作品だった。真実が明かされる過程や幾つかのツイストの流れが滑ら>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.0

戦後を舞台にするというアイデアは面白いが、戦時のヒロイズムを中心に置いた物語にはどうにも共感しづらかった。表面的には命を犠牲にするなと説きつつ、根底では誰かのために命を懸けることを称えている矛盾にもや>>続きを読む

ピエロがお前を嘲笑う(2014年製作の映画)

4.0

とにかく物語の大仕掛けが気持ちよい作品。大事なところで運と感情任せになっているところがやや残念。あと、この題材ならもっと小さな仕掛けと驚きを散りばめてくれたらもっと楽しかった気がする。

100億人―私達は何を食べるのか?(2015年製作の映画)

3.0

自分を含め多くの人は、大きすぎる社会問題を認識しながらも、その解決を政府や大企業など大きな組織に委ねてしまっている。しかし大きな組織ほど競争性や公平性やその他広範囲にわたる影響を考慮しながら動かなけれ>>続きを読む

シャイロックの子供たち(2023年製作の映画)

3.0

カジュアルに楽しめるザ・池井戸潤ワールドの銀行ミステリー。物語の根底にあるのはお金が持つ呪いの力の恐ろしさ。それぞれに陰と陽の空気を纏った佐々木蔵之介と阿部サダヲの対比構造が面白かった。

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

3.0

ひたすら気が滅入るホラーだった。死者を冒涜してはいけませんという話。現代に蔓延するバズり欲求の波を生み出しているのは、新体験に魅了されやすくリスクに鈍感という若者の普遍的な特性なのかもしれない。

硫黄島からの手紙(2006年製作の映画)

4.0

勝ち目も出口もない戦場で、ただ突然死ぬまで続く死と隣り合わせの日常。その圧倒的に閉塞的な日々の中で、正義の正体が少しづつ浮き彫りになる。誰かの正義や大義のために、自分にとっての正義を犠牲にしていないか>>続きを読む

父親たちの星条旗(2006年製作の映画)

4.0

戦争において英雄など存在しないことをストレートに伝える物語。戦死者やその遺族の尊厳や感情においてセンシティブな題材だけに、自分や自分の隣にいる人が殺されないために誰かを殺さなければならなかった当たり前>>続きを読む

リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

4.0

ませガキとモラトリアム姉さんの微笑ましい恋物語。古き懐かしき、しかし未成熟な時代を舞台とした雑多なエピソードの集合体の中で、右へ左へ揺れ、近づいては離れる二人の心。お互いに対する心の振り子の幅が徐々に>>続きを読む

アルゼンチン1985 ~歴史を変えた裁判~(2022年製作の映画)

3.0

物語の運び方はドラマチックで脚色性が高いのだが、劇中の映像機器を通すことで記録映像のようなトーンで物語を映し出したり、実際の記録映像をシームレスに挿入するなど、映像面でドキュメンタリーらしさを高める工>>続きを読む

イノセンツ(2021年製作の映画)

3.0

不気味で陰鬱。分別どころか悪意すらない暴力の暴走ほど怖いものはない。この物語の子供や超能力をメタファーと捉えると、まさにサイコが無邪気に人を操り暴力を繰り返す様子を描いているようでゾッとした。そして、>>続きを読む

令嬢ジュリー(1951年製作の映画)

3.0

尊厳を傷つけられた者たちが紡いでゆく負の感情の連鎖が憂鬱な物語。傷つけられたからこそ傷つけることに鈍感になってしまい、また傷つく人が生まれてしまう。その連鎖を断ち切る強さを持ちたいと思わされた。この時>>続きを読む

宮松と山下(2022年製作の映画)

3.0

もし人生で役を失ってしまったと感じる時が来たとしても、また次の役を演じればいいという、ドライだが小さな希望を感じさせる物語だった。そのメッセージを支えつつ、小さな驚きも提供してくれる、フィクションとノ>>続きを読む

ミステリと言う勿れ(2023年製作の映画)

3.0

幼い頃に刷り込まれたことは、呪いにも御守りにもなるという物語。できるだけ御守りを残したいものだ。結果的に結構もったいない役者の使い方をしているが、怪しい人を増やすことには成功していて巧いキャスティング>>続きを読む

暗殺の森(1970年製作の映画)

5.0

普通であることへの強迫観念に抗えず、自分にとっての本物を遠ざけてしまう男の話。とにかく画面の力が強い。大胆に配合された光と影が生み出す力強い美と、精緻に配置された人間たちの動きが交響曲のように奏でるリ>>続きを読む

DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

4.0

混沌と交り合う善悪、神話的な要素、印象的な機械や小道具や生物、まさにスターウォーズ的な世界の敷き方なのだが、それが良い。これからこの世界で繰り広げられる物語にワクワクさせられる。砂漠という舞台の個性と>>続きを読む

ある閉ざされた雪の山荘で(2024年製作の映画)

1.0

古典的なミステリーの構造にもうひと捻り加えたアイデアが面白いし、旬の若手俳優が揃っているので画面も華やか。しかし緊張感がイマイチ足りないのと後半の冗長さが残念。

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

5.0

まさに人を優しくさせる”哀しい面白さ”に溢れた映画。大小の生き辛さを抱える人たちが、不器用に愛情の欠片を与え合いながら互いに癒されゆく様子に心が和んだ。全ての人物が愛らしく見えたし、世界を穏やかに彩る>>続きを読む

ウエスト・サイド物語(1961年製作の映画)

3.0

出会ったばかりでお互いにひと目惚れして脳内お花畑状態になる主人公たちには共感できなかったが、キレの良いダンス、メロディとリズムが心地よい歌曲の数々、そして金網や洗濯物などの小物を効果的に配して街の雰囲>>続きを読む

Saltburn(2023年製作の映画)

4.0

バリー・コーガンの個性が生み出す唯一無二の主人公が強烈な印象を残す。サイコでありながら全ての喜怒哀楽を本当に全身で感じているという、矛盾を孕む人間像に説得力を与える見事な存在感と演技だった。夜の庭、浴>>続きを読む

巴里のアメリカ人(1951年製作の映画)

2.0

ジーン・ケリーのミュージカル俳優としての才能を堪能する映画。表情を含めた全身の表現力に惚れ惚れした。さらにレスリー・キャロンのバレーダンスとオスカー・レヴァントのピアノ技にも感嘆。特別な才能を持った人>>続きを読む

パラレル・マザーズ(2021年製作の映画)

3.0

ペネロペ・クルス演じる主人公が魅力的。強い意志と正義感とと家族愛を持ちつつ、人並みに誘惑や不安には弱く、それでも正しくあろうとする姿が愛おしかった。化粧や衣装によってガラッと雰囲気が変わるダイナミック>>続きを読む

市子(2023年製作の映画)

4.0

とにかく可哀そうな話。常に目が離せない緊張感を漂わせる杉咲花と、それを受ける若葉竜也の自然な佇まいの相性が抜群で、役者に見入る作品だった。二人とも泣きの演技がすごくいい。

隣人X 疑惑の彼女(2023年製作の映画)

2.0

冒頭のミステリーとしての煽りと、その後に続く緩やかな恋愛劇のバランスがどうにも悪く感じてしまい、見ていてもどかしかった。もっと静かな人間ドラマを主体にして、その水面下に個性的なミステリー要素が潜んでい>>続きを読む

正欲(2023年製作の映画)

4.0

何らかの欲があるから人は明日も生きていたいと思う。そして、世の中には認められている欲と認められていない欲がある。社会秩序を損ねうる欲は犯罪と分類され、それ以前に、理解すらされない欲もある。「多様性を尊>>続きを読む

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