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コントが始まるのgcpのレビュー・感想・評価

コントが始まる(2021年製作のドラマ)
4.5
わたしには推しがいないから、アイドルがよく言うような「すべてはファンのため」というモチベーションがいまいちぴんとこない。でも中浜さんと同じように何かに救われたことは多々ある。それは作家だったりロックスターだったりコント師だったりで彼らがすでに解散してようが死んでようが売れてなかろうがはたまた今は落ちぶれていようが自分にとってスターであり続けることに変わりない。そんなの当たり前に思えていたけれど中浜さんの真摯な告白をきいて何故かわたしまで勇気づけられてしまった。自分の行動が世界を救えなくても誰かひとりを救えてもし自分が誰かの生きる糧になっているとしたらそんな幸せなことはないし、それはマクベスと中浜さんという関係に限ったことではなくて、人という字は支え合って立っているという偽善ぽい言葉が自然と降りてきてしまうような人間ドラマだった。

なんだか数年ぶりにリアルタイムでドラマを追っていた31歳の春夏だった。一足さきに最終回を迎えた大豆田とわ子が客観的人生観に影響を与えたとするとコントが始まるはいまをひたむきに生きる主観的な人生観としてめちゃくちゃ刺激をうけることになった。それはぜったいに年齢が影響しているとおもうし、もはや忘却の彼方だけれど4年近く芸人と付き合っていたのも影響していると思う。彼も高校卒業後友人3人で芸人はじめて一つ屋根の下で夢を追いかけていたんだもの。売れたいっていう純粋な想いや中途半端な青春のつづき、ガランとしたライブ小屋に見覚えがある気がした。きっと皆んな面白いのにほんのひと握りの人たちだけがひらめきと運で売れてゆく。努力とは虚しさに耐える努力だったりする。それでも半ば取り憑かれたようにお笑いにのめりこんでいく人たちが今でもどうしようもなく好きで今年のキングオブコントも正座して観入ってしまうのだろう。個人的な話、トキワ荘の青春の森安みたいなハニカミとメガマサヒデの「人生を棒に振るんだったら、どうせならフルスウィングでーー!!」という絶叫系エネルギーがお笑い芸人の中に共存している気がする。そう思うとマクベスは小綺麗な職人系だけれどそんな彼らの解散発表から解散までの日々をゆっくりとていねいに追わせてもらえて贅沢なドラマだった。わたしは特に中浜さんの頑張らないを選択したことがなかった、に大号泣してしまった。マクベス3人はもちろん有村架純、古川琴音ちゃん姉妹がとっても良かった。
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