ねまる

忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段のねまるのレビュー・感想・評価

4.2
とにかくエンディングが驚くほど格好良いので、それだけでも見てほしい。和太鼓と役者の白黒の映像だけど、舞というより躍動、太鼓というよりリズムな、現代的な要素を感じられるすごい映像。
歌舞伎という伝統芸能、ナマモノをどう映像に残すか。シネマ歌舞伎のように丸々記録するのも一つだけど、ドラマとしてこう演出するかという一つの見本。

一般庶民には今やちょっと遠い歌舞伎の世界。丁寧に、当時の階級制度や、芝居小屋の仕組みなど、舞台で言えば口上や道化の役割に寄せつつ、織り込んでくるあたり、源孝志という人は天才なのかもしれない。

あとは全部がプロの仕事。本物の仕事。一寸の抜かりもない完璧な仕事。流石NHK。
歌舞伎役者も、そうでない役者も、脚本・演出も、美術や衣装もセットも音楽も照明もそれぞれが全部全部全部プロ。圧巻。

立身出世の物語として、中村仲蔵が立ち上がっていく話として、ストーリーも面白いんだよ。不遇の環境の中でも、どうしてやろう、ああしてやろうと考えてその後のことは考えず、行動する力がグッと来る。

チーム歌舞伎のみなさん
兄弟はもちろん、鶴松さんやいてうさんなど、中村屋の皆さん総がかりで、稽古シーンから抜かりない。仲蔵としては端役・奇策だから、女方も立役も七之助が主要な場面を演じてくれるのが有難い。化粧してないときの漲る野心と溢れる色気に昇天よ。お兄ちゃんは体張ってばかりの物語を全力でやり切るエネルギーが流石でした。

チーム俳優のみなさん
所作や台詞回しの厳しそうな歌舞伎役者の役をようやりましたわ。劇パートを自然にこなせる俳優さんたちもいてこそのこのドラマのテンポ感なんだよね。そして、萌音ちゃんが素晴らしい。三味線で替え歌使って尻に敷いてる感じも、仲蔵にとって支えであることも簡単にやってのけるね。そして、謎の侍・藤原竜也。短い出番なのにこの存在感!舞台版の仲蔵役も頑張って!!
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