ねまる

心理探偵フィッツのねまるのネタバレレビュー・内容・結末

心理探偵フィッツ(1993年製作のドラマ)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

Best Boys/悲しき出会い
ポール・アボット脚本
のみ

古畑任三郎形式で、視聴者は事実を知っているということもあり、「心理探偵フィッツ」というプロファイリングで事件の捜査を手伝う教授の話でありながら、捜査する場面や犯人以外の容疑者に割くパートが最小限なので、犯人のパートにかなりの部分をあてられるというのがいいところだと思う。他の回は知らない。

この回は何より、ジョン・シム&リーアム・カニンガムがあまりに良い。見て数ヶ月経ってもまだ心がぎゅっとなる。ドラマの中の1エピソードなのに映画1本観たくらいの満足感。

ビル(ジョン・シム)
愛されて育たなかった少年の孤独と衝動。寂しさからくる甘えん坊と、深く暗い影。この事件にとっては犯人で、グレイディにとっては何にも変え難い愛おしい存在で。グレイディの前では明るく人懐っこく見えて、実は何度も自傷行為をするような脆さがあったなんて知らされるとより不幸さが増す。里親になるはずだった家族を見つめるあの目。17歳で一体どれだけの悲しみを背負ってきたのか…
自分を捨てた里親に拳銃を向けながら、必死で正気と狂気を揺れ動く表現が、立派な大人だと思っていた姿と、まだまだ子供の姿の行き来にも見えて、辛くてしょうがない。

グレイディ(リーアム・カニンガム)
そんな少年に出会ってしまったおじさん(え?35?)。悲しい出会い、なのか…ビルを見つめる表情の愛おしさに混ざる苦しさ。フィッツの前で泣きながら事件の告白をする場面、自らを押し殺し続けてきた鎧がどんどん剥がれていく。グレイディ視点で見がちということもあり、涙を堪えるのが無理。
そして2人の結末はもっと無理。泣く。
フィッツが指摘したようにBest Boysだった、お互いにとって必要な存在で、グレイディが本心を伝えられていたら、こうではない結末があったようにも思えることが余計辛い。

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