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まさに人生はのgcpのレビュー・感想・評価

まさに人生は(2021年製作のドラマ)
4.0
いっき見してしまった!今年の春ドラマ「コントが始まる」もそうだったけれど人生こそがコメディだと思える良作。そして観ていると「40代になってもこんなに人生しんどいの?」と焦ると同時に「40代になっても大人はちゃんと大人をこなせないんだ」とわかってホッとする。だから朝家をでなきゃいけない時間をすでに5分過ぎているのに花瓶の水を変えたり無駄に立ったまま朝の手紙を書きつつ賞味期限が昨日きれたフルーツを口に放り込みはじめたりして結局10分遅れて家をでて全速力で駅まで走る。といった判断能力に欠けていると意識せざるを得ない日々を送る自分のことを客観的に笑うことができた。女は歳を取ればとるほど混沌としていく。きっとこうすればもっと家庭が良くなる、社会が良くなると思って無責任に即行動してしまうからだ。特に愛する子供を護る上で懸念される現代の社会問題が12話で網羅してくのか?ばりに挿しこまれるのが皮肉たっぷりで面白く(ママ!トイレで司祭や監督にでくわすことなんてないよ!は深刻且つ笑える)ちゃんと大人自身の生きづらさを滑稽に描いてるから愛おしい(グルテン抜いてたのに〜で心のバランス崩しているの超共感でバカげていて笑っちゃう)。
よりよい人生を歩もうとしたって正直そんな器用でタフじゃない。ただ抑圧されるのだけはいけないと思う。実は己に自由でいることは本当に難しいから、せめて外部からは自由でなければいけないのだ。大人の特権とは自分の意思で組織や他人や家族と離脱・離別・離縁できること。勿論それは一筋縄ではいかないのだが学校の教えとして子ども達は簡単にいう「嘘はつきたくないよ」と。豊富な経験は時に邪魔で醜い振る舞いが増えてしまう。自分でも良くないと認識する以上に素直で聡明な子どもたちの無垢な目は厳しくて大人であることを嘆きたくなる。(そういった意味で素直なヤスミンが一番すきだった)といっても11〜12歳の男の子たちは無垢であるどころかある意味冷めた大人以上に大人で、それに気づかず赤ちゃんみたいで可愛いと頬をゆるめる母親たちの一見ハッピーな姿は一番の皮肉だったかもしれない。

そうやって漸くスタートに立てた女たち。ラストがコロナウイルス蔓延のはじまりと繋がっていて不謹慎だがドラマチックだった。どうか終息後にはまた現実とリンクされたシーズン2が観たい。
SATCやGIRLS然りこの手のドラマはぜったい面白い。悪意のない人種差別ワードがでても指摘しあえてお互いの生き方に干渉はしないが絶対的味方でいる、というスタンスの大人の友情は最高だ。さすがジュリー・デルピー!と思えるバランスのいい作品だった。
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