倉科博文

愛なき森で叫べ : Deep Cutの倉科博文のレビュー・感想・評価

愛なき森で叫べ : Deep Cut(2020年製作のドラマ)
3.7
やはり園子温という人はセンスがズバ抜けてるんだろうなと、改めて思った

わざと臭い芝居がかった演技付け
ともすれば、作品が空中分解しかけないカットバック連発
これらをまとめ上げて推進力のある作品に仕上げてしまう撮影腕力に驚かされた
半端な監督が撮ったんでは、本当にバカバカしくて見ていられなくなるところだ

そして相変わらずの、女優を撮るときのレンズ越しの中高生目線
この人の性価値観は、きっと中高生のままなんだろう
奥さんに神楽坂恵を選んだあたりからも、そんな感じを受ける(失礼!)
でも、それがこの人の作品の個性となり、下卑た色気にもなっている

そして、そんな俗っぽさや安っぽさ、浮ついたハリボテ感、エログロ感を満載にしても、この作品が芯をもっていて、胸に迫るような迫力に満ちているのは、園子温が映画に込める詩性や暴力性が画面に満ち満ちているからだろう

そう、怖い、怖いんだよ

何だろう、この人の作品のもつ怖さ
恐怖心を鷲掴みにする感じ

何気ない日常を暮らす人々ー
バカバカしくも、ほのぼのとした描写が続き、でも、ひたひたとヤツが近づいてくるのが分かる感じ
決して、大仰に、もしくはおどろおどろしく表現はしないー
でも、明らかに「異質」が忍び寄る雰囲気を演出する構成とカット配置は見事だと思う

ここまで、感情を振り回されたら、もう評価しないではいられないじゃないか