倉科博文

LUCIFER/ルシファー: シーズン4の倉科博文のレビュー・感想・評価

LUCIFER/ルシファー: シーズン4(2019年製作のドラマ)
4.0
前シーズンまでのプロテスタントの苦悩は幕を引き、キャラクターを入れ替えただけのシンプルな事件モノのラブコメディーに転落か、と思いきやーーー

時を超えた旧約聖書の続編の様相へ
善と悪をテーマに据えた叙事詩的、ドラマティックな構成で、これはこれで面白い
そこから、愛や友情、信頼についての苦悩を描き、この世に起こる理不尽と向き合っていく覚悟を示してくれる

そしてもう一つのテーマの主軸となるのが『実存』ー
自分らしくあることと利己主義の境目は、恐らく他人に迷惑を掛けないことだと思うが、もし業や望まない運命、他人の企みなどでその境目を見失った時、誰がその人を責められるのだろうか

法? 
神? 
自分?

実際のところ、全知全能全善の神は、不確定性原理によって存在を否定されてしまっているが、じゃあ、誰が善と悪の裁定を下すのか

少なくとも、日本の刑法典においては、善悪は判断されない
日本の刑法典の対象は被告人ではなく、裁判官になる
つまり、被告人に対して「〇〇の罪を犯したため、〇〇の刑を命じる」という形態ではなく、「被告人は、〇〇の罪を犯したと認められるため、〇〇の刑を命じなければならない」と裁判官宛に指定している
これは非常に良くできた仕組みだと思う
法は善悪の判断ではなく、あくまでも社会的な秩序を機能させる仕組みの一部という役割しか与えられていないのだ

だから、それぞれがそれぞれの善悪について、真剣にきちんと向き合わなければならないのだ