ねまる

明日の約束のねまるのレビュー・感想・評価

明日の約束(2017年製作のドラマ)
3.6
何か事件が起きた時、何か大きな出来事が起きた時、何か議論すべき話題が上がった時、
こうである、こちらが正しい、あちらはおかしい、この視点から見てこう、などはっきり意見できる人に対し、
知識があり、自分の中の軸があり、すごいなぁ、そうなりたいなぁと思っていた。
口に出さず他の人の話を聞いて、こうだろう、ああだろうとぼんやり考えたり。

でも、ある会議で、意見を求められた時、どちらの立場も分かって、物凄く曖昧な答えをした。どうしよう、決められない、と。
色んなことが決められなかった。
自分の中に確固たる正しさが何もないから。逆に自分が正しい側にいると思える人って凄いな、いやちょっと怖いなと思った。

自分が正しいと思えるには、確かに知識や経験が必要で、私にはまだまだそれが足りなくて、吸収していく必要があるというのがその時の解だったけど、
正しさは時に冷たくもある。
誰か自殺を選んだ時、あれが正しい、これが正しいと決めつけ、悪を叩くのは正義じゃない。正しさは振り翳すもんじゃない。

例えとして、推理小説が出てくる。人はみんな犯人探しが好きなのだと。
推理小説好きとしてはびっくりした。私は悪者探しが好きなのか?と。同類なのか?と。
でも、それだけで括られるのは嫌だった。でも、そう言われてみれば確かな気もした。
推理小説に熱中する時間は、他のことを考えず、事件と謎解きに集中するから気持ちが楽になる。

もういいよ、自分が悪者になるから。私が悪かったんでしょう、と思うことで、自分の非を認めることも大事だと思う一方で、それは逃げにもなる。それは相手のためにもならない。という視点もちゃんと出てくるところが良かった。

一つの死をきっかけにそれぞれが何を思い、何を選ぶのか、ゆっくり時間をかけて描く。
特に家族、親子の関係性を。
100人いれば100通りある親子関係。
ゆっくりさが色んな思考を与えてくれる。
そんな作品だった。
ねまる

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