金宮さん

よこがおの金宮さんのネタバレレビュー・内容・結末

よこがお(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

転落人生とその報復が物語の主軸。過去パートの堕ちていく様と、現在パートの復讐準備を交互に描く時間軸交差の手法をとっており、スリリングな展開は鑑賞者を画面に釘づける。

ただ個人的にストーリーにはそこまではまらなかった。過去パートに八方塞がり感をあまり感じられず、没落せずにすんだんじゃなかろうか?と思ってしまったから。

明確に名誉毀損なので被害者相談所じゃなくて弁護士だろうし、勝つ確率めっちゃ高そうな気がする。そもそも誘拐幇助の刑事事件関連なので、タレコミ頼みの週刊誌報道一本勝負でテレビメディアまで動くかしら?と思ってしまった。

現在パート、浮気偽装の復讐も仮に成功したところではめる側の顔と動機が彼女に完全に割れてるので、カップルで話し合えば一瞬で解決だよなーと思ったり。

とはいえ、全体的に映像に凄みがあるので『刑法39条』のように演技合戦の映画とすれば充分に楽しめる。筒井真理子さんがすごいのは言わずもがな。怪演しすぎてない市川池松カップルにも凄みを感じた。

基子は"私が誘拐されてればよかったね”と吐き捨てているように、おそらく母親からの愛情不足からサキに嫉妬している。その歪んだマザコンを市子さんにぶつけ独占欲にまで発展しているっぽいが、その健気サイコっぷりがすごかった。怪演しずぎない静かな怖さ。

池松さんは「色気出しすぎの喋り方」に微妙なわざとらしさを滲み出す演技が流石すぎる。ゴミ捨て場で乱暴に缶瓶を放り投げた後、客に声かけられたことがわかった瞬間、見事にセクシーな声色にチェンジ。この辺に明らかな二面性を感じ、見事な怪しさ臭わせ。それだけに途中退場で終わってしまったのがもったいない。もう少し見せ場が欲しかったな。

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・筒井さん池松さんのクラブシーンBGMがDE DE MOUSEぽい民俗音楽&チルな感じで妙にかっこよくて印象深かった。ああいうところで騒がしいだけのを流さられると結構冷めるからありがたい。

・他の方のレビューを見ると復讐シークエンス自体が妄想説もあり、そうなると全体も少し違っても見える。池松さんが最後「市子さん」って呼んだ違和感もそこに起因するのか。考察しがいはありそう。
金宮さん

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