桃

すずめの戸締まりの桃のネタバレレビュー・内容・結末

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

2022年53作品目。

深海監督の作品は、日本っていいなぁと日本をじっと見つめ直す時間になる。
日本の美しさや、アニミズムの冷酷さと礼賛。そして日本アニメの芸術性。
今回は特に、ジブリへのオマージュも沢山感じられた。

日本での、フェリーの旅、列車の旅の原風景、東海道新幹線の富士山タイム。ジブリに比べたらロマンよりリアルな日本らしさ。なんていうか、海外から帰ってきて白米食べた時の感覚のような、ホッとする感じ。

という表層面の話。

この作品は日本には記憶としても、近い未来としても、避けられない地震の話を真正面から描いたもの。

改めて、更地になってしまった空間を、アニメーションを通してみることでの、恐怖。すずめを通して聴く叫び。
街を包む炎。
地震アラートの音。

無意識下で直視することを避けてしまうような日本の現実もありのままに映す。
それは廃墟にかんしてもそう。

私たちが生み出したもの、自然と共存する暮らし。

西の要石はすずめが解除してしまっまが、東の要石を解除したのはダイジンではなく、何だったのか。
西の要石がはずれたことでの、ミミズの暴走が加速し、たがが外れたのか。
人が自然の立ち入ってはいけない領域に立ち入り過ぎたことを表しているのか。

要石という、生贄、人の犠牲により、自然の怒りをおさめるというところも、それに通じているか。

異常気象や地震、それらは人によるものもあるだろうし、自然ないし地球の大きな状態変化として人が影響を及ぼせるレベルでもない部分もあるかもしれないし。
いずれにしても、人は自然と共存をしていくしかない、美しさも冷酷さも享受しながら。
うちのめされても、止まない雨はない、明けない夜はない。これからも雨や夜は必ずやってきてしまうけれど、その度に、「明日のすずめ」のように再建していくのだ。人と人の関係も。
そんなレジリエンスをみせてくれる作品だった。

(神木くんの声、エンドロールみるまで気づかなかった、自然すぎて)
桃