ももも

ビリーバーズのももものレビュー・感想・評価

ビリーバーズ(2022年製作の映画)
4.1
カルト宗教というよりは極左団体(特に連合赤軍?)の話という感じが強い。閉鎖的で統制的な集団が、俗っぽい感情をきっかけとして狂気へと落ち込んでいく。

性描写が多いけど、おっぱいがたくさん出てくるのに対してケツがほとんど映らないのは、根本的には女性というよりも「母性」を問題にしているからなんだろうな。
連合赤軍の山岳ベース事件の場合、母性は組織全体の所有物であるべき子どもを私物化するものとして捉えられ、徹底的に否定された。しかし、その結果として、子どもは母体もろとも命を落とすことになった。理想と、それを実現するための統制と、それが引き起こす狂気。
とはいえ、理想に対して欲望を、夢に対して現実を称揚する、みたいな単純な話ではない。夢のなかに現れる母は、「みんなの話を聞けば、その宗教団体がいんちきだってことがすぐにわかるよ、だから帰ってきておくれ」と語りかけてくるのだが、この語り口は、「みんなの話を聞けば、その宗教団体がまっとうなものだってことはすぐにわかるよ、だから集会においで」と言っていたかつての母のそれと、まったく同じ形のものだ。母の精神性は、団体の脱退前後で、まったく変わっていない。夢と現実の違いは曖昧であり、われわれは単に前後関係によって両者を区別しているに過ぎない。
主人公にとっては、母親とその他の女性の違いも、同様に曖昧だったのかもしれない。

宇野祥平は相変わらずこういう役が似合う。磯村勇斗が意外なくらい良かった。副議長役の北村優衣が自分より年下でびっくり(という齢でもないか、さすがに……)。
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