ももも

霊的ボリシェヴィキのももものレビュー・感想・評価

霊的ボリシェヴィキ(2017年製作の映画)
4.2
タイトルの意味はよくわからないけど、共産主義と幽霊という組み合わせはいいなと思った。言うまでもなく共産主義は唯物論で、幽霊を祓うための思想なんだけど、『共産党宣言』の冒頭部に表されているように、共産主義自体が幽霊である。これまで実現されたことがなく、これから先も決して完全には現実化されないであろう、亡霊的な存在としての共産主義、とそれに対する(それに由来する)恐怖。

人々は、どこにも存在しない共産主義を、それがどこにも存在しないという理由で恐れる。人々が共産主義を遠ざけようとする、あるいはそれを招来しようとするのは、その潜在的で亡霊的な存在を恐れるためである。人間が恐怖の到来(劇中では「スターリンの恐怖政治」)を求めるのは、亡霊的な不安に耐えられないからなのだろう。
あの世なんて存在しない。それゆえに、人は幽霊を恐れる。
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