ももも

女王陛下のお気に入りのももものレビュー・感想・評価

女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)
4.4
女同士の争いの話なんだけど、無意味な争いを延々と続けさせられる女の悲惨さの話でもある。ドイツ人の男のペニスをしゃぶる生活から女王の脚を揉む生活への、迂遠でナンセンスな移行(ひざまずき、髪を掴まれたまま頭を前後させるエマ・ストーン)。
中心人物となる三人の女性は、それぞれの経路を辿りながらも、どこにも辿り着かない。カタルシスのない、堂々巡りの、それでいてやたらと歩かされる宮殿(とはいえ、その外には糞とファックしかないのだが)。
そこには猜疑心があり、嫉妬があり、攻撃性があるんだけど、そのどれにも溌溂とした力強さがなく、ただただ不安で、鈍重で、悲惨である(それとは対照的に、男たちはみな明るく、軽やかである)。
そういう意味でフェミニズム映画でもあるなと思った。

物語のテンポが良くて楽しい。ジョークというか、笑える箇所も多いんだけど、そのひとつひとつにこだわりすぎないあたりが上品だと思った。細かいセリフ回しもいい。映像的には、広角レンズを使った歪みのある画や、背景の主張が大きい表情のクローズアップが印象に残った(奇妙だけど、個性的でおもしろい)。
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