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The Tiger's Apprentice(原題)のURのネタバレレビュー・内容・結末

The Tiger's Apprentice(原題)(2024年製作の映画)
2.4

このレビューはネタバレを含みます

『ガーディアンと魔法の虎』
日本のParamount+でも配信がスタート。吹き替え版で観ました。

冴えない高校生の主人公が自身の家系に伝わる能力に気付き、そこから新たな人生が始まる…という導入だけ観れば面白そうだなと思うのですが、設定のや人物の感情の描写不足がかなり目立ちます。
例えば、突然中華レストランを運営している、主人公達をよく知る味方サイドのおばあさんが登場するのですが、一体彼女が何者なのかが語られずに終わります。
そもそも主人公の家系は一体どのような過去を辿ってきたのか、どのような存在意義があるのかもほぼ語られません。終始頭には「?」が浮かびます。

主人公(の持つ宝石)とその仲間の十二支達を狙う敵が登場し、当然主人公は戦う訓練をするのですが、シーンとしてかなり浅く一瞬で終わってしまう為にどの程度成長したのかが伝わりづらいです。まるで代々の家系だからそんなに苦労しなくても良い…そう受け取れます。

しかしながらその恩恵として、ストーリーはとてもテンポ良く進みます。非常に見やすいです。

登場人物は主人公トム、十二支、主人公の女友達ラーヴ、味方のシンシア、敵の魔術師ルー。
しかし十二支は理由があって全員登場するのは終盤であり、半分近くは大して活躍せずに終わります。攻撃方法やデザインなど、魅力的だったのにあまりにも勿体無いです。
加えて、ラーヴも何故登場させたのかが分からない程存在意義が薄いです。序盤に出会うのですが、その後はなんとなく居るというような感じで、十二支とは対照的に出さなくて良かったように感じます。実はルーの養子だった事が判明する(孤児という設定)ので、ルーの弱点を知っているという役割になるのかなと思っていたのですが、悪い方へ裏切られました。無理矢理ストーリーに絡ませる為に養子雪駄にしたとしか思えません。
トムの性格にもやや難があり、内気かと思えば勝手に1人で行動したり、自分の技能レベルについて良く理解しているにも関わらず戦おうとします。一貫性にやや欠けています。

アニメーションはかなり良く出来ています。特にアクションシーンのスピード感(ただしワンシーン、「ん?」と思う箇所がありました)や、夢のシーンでの水彩画のような独特の絵柄を3Dで表現する技法は目を見張る物がありました。

吹き替えはトムのちょっと情けない演技や、虎のフーの渋い声など、どの人物もピッタリでした。

まとめると、正直配信オンリーになったのが良く分かる位の駄目さがあるものの、テンポの良さで最後まで観る事が出来る…そんな作品です。一般層にはウケにくいと思いますが、海外のアニメーション長編を追っている人はきっと楽しめると思います。
十二支達は人間に変身するので、そういう要素が好きな方にもオススメします。
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