身勝手な太陽

の方へ、流れるの身勝手な太陽のネタバレレビュー・内容・結末

の方へ、流れる(2021年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

【待ち人来ず、たより(LINEも可)も無し。それでも会える事もある。】

 映画館ではなく、合法的な別の方法で鑑賞。すでに数十回観た。と言っても、一日あれば24回観られる作品だ。

 気心が知れた、特に1年以上も付き合った仲であれば、どこまで踏み込んで良いのか距離感が掴めてるはずだが、智徳がたまたま読んでいた小説と、落としていった金属製の栞から始まっただけの偶然の出会いでは案の定、小さな諍いにまで発展していた。そもそも虚実がはっきりしない、互いに化かしあうような会話だけだったので尚更そうだ。

 二人の出会いの序盤は里美が主導権を握ってた。智徳が「楓」という恋人を待っている事を知ったし、それはあの女性だと目星も付いたからだ。どこかの時点で里美は思ったのかもしれない。

 「私なら勝てる」と。

 情報戦の優位を獲得した事による、心の中の密かな先制のワンゴールだったに違いない。しかし、後半もゴールを決めて勝利を決定づけたかに見えたが、痛恨のオウンゴールで試合終了。里美はキス損にもなったが、もしかしたら煙草の匂いがしたからかもしれない。

 そもそも勝ち目は最初から無かったのだろう。智徳と楓にはすでに重ねた時間があった事と、驚くほど似たもの同志なのだ。だって、待ち合わせすらまともにできないタイプの二人なのだから。

 そして里美もまた、序盤の小さな悪事(栞の事とか、楓が店先に来てた事を告げないとか)の積み重ねが、逆転負けの際の大きな精神的ダメージにつながった様子。
 人は、誰であろうと相手の立場を思いやり、正直に生きるべきである。しかし、そうしないことで得られるものもあるのだろう。

 ちなみに里美が煙草を吸うシーンで、私の頭の中では、唐田えりかがタバスコの瓶を親指と人差し指でつまんで不敵に笑っているマネさんカメラ写真がよぎった。スイッチが入る瞬間はとても面白い。
 あと、棒読みのように聴こえる台詞の数々ではあるが、初対面の関係で感情たっぷりの台詞が続くとかあり得ないので、棒読みは必然的で問題ない。

【余談】

 視聴40回目を超えた頃、重大な事実に気づいた。
「○○スラッシュ(/)」だった…。なんというステルス性能…。
そうだ、これは唐田えりかの演技に引き込まれていたからなんだ。そういう事にしておこう…。
 最後に、映画の中で好きな台詞「走って行ってみたらすぐですよ」

【さらに余談】

 つい最近「左様なら」を見たら、芋ちゃんが主役の一人で、その隣の席に加藤才紀子さんがいたし、クラスメートには安倍乙さんもいた。芋ちゃんは唐田さんと温泉友達らしいし、つながっている感じがGOODです。

【もっと余談】

 今さら気付いたけど、ドラマ「凪のお暇」で課長の嶋浩一役を演じてたのが足立智充さんだった。円の頭を撫でるっていう、インパクトある気持ち悪い演技が見事でした!
身勝手な太陽

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