身勝手な太陽

映画 聲の形の身勝手な太陽のネタバレレビュー・内容・結末

映画 聲の形(2016年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

 気が付くと、アニメ作品のレビューをしていない事に気づきました(結構観てるんですけどね)。さらに、アニメでも映画化されてるものは「映画」に分類されてる様子。
 京アニの事件の判決が出たからレビューするというのもどうなのか、ちょっと自信を持てない中で、こういう時はウィキペディアでも参考にしてみたら、漫画原作者である「大今良時」氏は女性なのだと知りました。

 そこでちょっとイラっときました。なんでも、少年誌のお約束で男性風のペンネームにするのだというのです。
 多様性の時代とか言ってる割に、女性が少年漫画誌で漫画を描いちゃいけないルールでもあるのでしょうか?
 近年、男性漫画家を凌駕するほどの大人気を誇った「吾峠呼世晴」氏も女性でしたが、私は連載開始時に「この漫画は必ずヒットする」と直感的に感じていましたし、蓋を開けてみれば一大ブームですからね。
 
 一方の大今良時さんは「人と人が互いに気持ちを伝えることの難しさ」という難解なテーマを最大の武器として、少年時代のいじめから始まった人間関係の破綻の中でもがいている少年を主人公にしました。
 「いじめはいけません」と学校の先生は言うのでしょうが、まだ不完全な人間性しか持ち合わせていない子供がそれをしてしまうのは、結局はその当事者たちが人間関係とは何かを考えるという、学習教材ともいえる重要なテーマでしかないのだと思います。
 どの時代にもある事ですし、現代はいじめへの反応が過剰過ぎる割に、宝塚みたいな事まで起きる始末ですよね。大人でも「人と人が互いに気持ちを伝えることの難しさ」があって、どうにもできない事がある。それが事実です。
 そして、男尊女卑のような土着の風習としか思えないルールなんて、良作を潰してしまうだけの足枷でしょう。

 「いじめ」を描く必要性のある作品だという前提で描かれた作品を、「いじめが描かれているから」と何度も書き直しさせられていた作者は、それでも「聲の形」を世に出し、京アニによってアニメ化され、さらに多くの人々の共感を得ています。
 蓋をしてはダメなんですよ、人間関係だけは。

 なので、宝塚でも「聲の形」を舞台で演じてみれば良いのにと思ったりしました。悪しからず。
身勝手な太陽

身勝手な太陽