身勝手な太陽

チョ・ピロ 怒りの逆襲の身勝手な太陽のネタバレレビュー・内容・結末

チョ・ピロ 怒りの逆襲(2018年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

【イ・ソンギュン追悼②】

「チョ・ピロ 怒りの逆襲」

 イ・ソンギュン主演、監督は韓国大ヒット映画「アジョシ」のイ・ジョンボムで、いつも幼女が出演してるイメージですが、今作ではようやく幼女無しです。

 悲運の少女チャン・ミナをチョン・ソニが演じていますが、
1991年3月20日生まれなので、韓国での公開日の2019年3月20日には…、高校生くらいの年齢ではないです…。身長163センチと小柄だから選ばれたような(冗談です、演技も最高でした)。
映画の中での第一印象は芋生悠さんみたいだったので好きかも。

 ところで、誰もが思っている通りのクズ刑事チョ・ピロなんですが、たとえ99.9%クズだったとしても、0.1%の良心が残っていたパンドラの箱のような男です。
 そんな男が開けた悪党のパンドラ部屋から出るわ出るわ大量の裏金が実にタイムリー!!
 まるでショッカーの大首領のように、裏金の力を借りて手下を増やし、韓国を牛耳ろうとしてた正真正銘のクズでした。

 ところで、時代背景は日本でも話題になった客船の沈没事故後という設定で、ミナは親友のジウォンを失っています。
 夢に出てくるほどの関係だったジウォンのために、ジウォンの父親を気遣って自殺を食い止めたり、救助活動でジウォンを見つけてくれたものの、寝たきりになったダイバーに送金したりしている事を知ったチョ・ピロは、自らの愚かさを少しずつ理解するようになります。
 そんな中、大首領がミナの事をまるでゴミのにように言い放った「こいつは780ウォンの人生」という言葉に完全にキレたあたりからようやく「怒りの逆襲」の幕が切って落とされるのです。

 子供たちが大人を信じられなくなったら、そこはディストピアにしかなりません。箱から最後に飛び出して逆襲を成功させたチョ・ピロはグレーの存在ではあるけど、たった一度だけ大きな間違いを正して、捨て身でミナの死に報いた。それで良いと思った。

 ミナの幻に歓喜するチョ・ピロの姿に涙し、イ・ソンギュンがいなくなった現実にまだ納得できないでいます。
身勝手な太陽

身勝手な太陽