ちい

正欲のちいのネタバレレビュー・内容・結末

正欲(2023年製作の映画)
2.7

このレビューはネタバレを含みます

世の中にとって【正】しくありたいという【欲】は誰にでもあって、世の中にとって正しいが正義のように語られる世界でどうやって人と繋がりを持ちながら生きていくのかを問いかける一作。水フェチという世間に理解されない「好き」を抱えながら、普通に「擬態」することを通じて支え合って生きる佐々木佳道・夏月夫婦(磯村勇斗・新垣結衣)と、「世間から見て正しい」を押し付けて家族が壊れてしまった寺井検事(稲垣吾郎)、どっちが「普通」なのかを問い直すラストが、時間が経ってから沁みてきた … 。多様性、とか、理解、とかいう言葉への違和感がここにあった。

「地球に留学してる気分」っていうワードチョイスが好きだったな、、、最後に「いなくならないから」と伝言した夏月の目が、冒頭のうつろで水の中に沈んでいく目と全然違って、女優新垣結衣の演技力を感じた。水に濡れてる新垣さんも安定に美人だし、なによりも佳道と一緒に水に囲まれてる時の夏月の表情が幸せそうで、ああ居場所を見つけたんだなと思った。

現実でもどういうこと?っていう容疑者の発言が時々あるけど、それを「ありえない」で片付けない人でありたい。「あなたが信じなくても、私たちはここに存在しています」という夏月の言葉のように、自分が見ている世界や景色だけが全てだと思い込まないように。
ちい

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