凝った作りの映画だと聞いてたけど、視点を変えることによる効果を含めて、思ったよりはストレートだなと感じた。現実社会でモンスターペアレントやら教師の不祥事やら子供のいじめやらの話題に触れすぎているせいで、特定の人物の視点から見せられている間も、いやでもこれ相手側から見ると違うかもしれないじゃん、と穿った見方をする癖がついているのかもなあ。
タイトルは「怪物」だが、「誰が」怪物なのかではなく、怪物ってこうやって生まれるんだよということを痛烈に描いている。人はすれ違うし、悪気なく(時には悪気ありありで)人を傷つけるし、大きすぎるしっぺ返しを食らうまで大体気付けないものなのだ。
ラストシーンの解釈は観客に委ねられており、色々と示唆的な伏線もあるのだが、そういうのを全部一旦忘れて個人的な印象だけで言うと、バッドエンドとしか思えなかった。あんなに光に溢れた明るい景色は、最期に見る夢でしかあり得ないんじゃないかな、と感じてしまったのである。生まれ変わりなんてないのがこの映画の世界なら、せめて明るい楽しい夢で終わってほしいという願望でもあるのだ。
