新木

終わらない週末の新木のネタバレレビュー・内容・結末

終わらない週末(2023年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

Netflixオリジナル映画のクオリティーが良いですね。劇場で観れば、けっこう面白かったレベルかもしれませんが、このレベルがオリジナルで年に何回か配信されてくるならプラットフォームとしての価値も高いと言えると思います。

まずは個人的に久しぶりだったジュリア・ロバーツとイーサン・ホーク。老いてなお良いかわからないですが、味は出てました。ジュリア・ロバーツの他人に厳しくイライラした感じは妙に当てはまり、イーサン・ホークのどことなくはっきりしないし(収入的に)頼り甲斐もそこまでない感じも適役でした。
物語は週末過ごすように借りた豪邸からの印象とは大きく離れていき、SF的要素ありホラー的要素ありといった感じで。きっかけとなるタンカーがビーチに突っ込んでくるシーンは画的にも新鮮(随所に見られる独特なカメラワークも面白かったです)。そのあと緊急事態で家主が帰還。黒人の父と娘と名乗る彼らに不信感を持つのは描写としてはある種前時代的だが、サイバー攻撃によりスマホもテレビも機能しない状況に慌てふためく様子は肌の色など関係なく。ただ、こういうときに黒人も白人を信用するな的な教訓を反芻していたことはどこまで現実的なのか。また、両者で好戦的だったのが家族の母と家主の若い娘とともに女性だった点はどうだったのか(役者的にはばっちりはまってましたが)。若い娘のほうが醸すピリピリは、母の生存が気になっている点も多分にありつつも世代特有の意識の高さを表しており、これからの時代に地球で暮らしていくことの不安を投影させた感がありました。
テスラの自動運転による大量追突などは行き過ぎたテクノロジーへの警鐘とでも言えるでしょうし、紙ストローと無農薬チキンのまやかしもセリフに入れ込んでくるあたりは好感が持てました。

気候変動やコロナなどに対して国関係なく、対応していかない状況においても、ウクライナやパレスチナと戦争が世界各地で勃発している現代で、本作の登場人物たちは明日の私たちを映している。SNS他諸々の影響で総じてお金と自分とその周囲数キロにしか興味を持てなくなっている私たちが間違っても内戦など起こすはずもないと信じている方々は、もっとさまざまな価値観に触れたほうが良いかもしれません。
あとはビラやらスペイン語のあの人やら母から家主への誘惑(←どこでスイッチ入った不明、金に目が眩んだか)やら大量の鹿やら人嫌いのキャラ設定やらフラミンゴやらフレンズの最終回の行方やらが気になるところ。
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