一休

SAND LANDの一休のレビュー・感想・評価

SAND LAND(2023年製作の映画)
5.0
お盆休みも終わりに近づいて、一日中ネットで、アニメを見て、寝て、見て、寝て、を繰り返していたわけだが、さすがに腹が減ったので、『小林さんちのメイドラゴン』の頃から推しである、田村睦心さんが主役を演じる【SAND LAND】を観ながらポップコーンセットを食べに行くことにした。
動機が、田村睦心さん一辺倒ではないことが不純かもしれない。
作品そのものは、鳥山明さんの、長々と続けるしかなくなった作品とは違って、これこそが鳥山ワールドという世界観で、ちょっと昔の西部劇風な所が良かった。
だって、保安官のラオ(=シヴァ)は明らかにリー・ヴァン・クリーフなんだもん♪(笑)
主なキャラクターを演じるのは、ベルゼブブに田村睦心さん、ラオに山路和弘さん、シーフはチョーさん、かつてラオ(=シヴァ)を騙して抹殺しようとしたゼウ大将軍は飛田展男さん、抹殺事件に巻き込まれた時の部下の子であるアレ将軍は鶴岡聡さん、そして水が豊富だったころは水泳が得意だった親子盗賊団スイマーズのパパには杉田智和さんが配されて、ベルゼブブに「ゲームは一日1時間」と釘を刺すだけ(笑)に出てくる大魔王サタンは大塚明夫さんが演じている。
砂漠と化した世界の中で、水資源を求めて、人と悪魔が協力して信頼が出来てくるという、なんとも昭和的な勧善懲悪感があるが、そこには「言必ず信、行必ず果」を信条とする大人が描かれていて、正統派の時代劇・活劇・西部劇の雰囲気があった。
ここのところアニメといえば、殺伐として、複線の上に複線を重ねて、続編へ呼び込もうとするものが多いが、こういうちゃんとその場で完結する作品なら子どもにも推薦できるというものだ。
そこに、悪役である王国軍兵士はワルサーPPK/S的な銃を使い、ラオはコルト・ガバメント的な銃を使うなんていう鳥山明さんのメカとSF感が合わさるのだから、絵でも楽しめるのは請け合いだ。
しかも、エンディングに掛かるところで、またしても騙し討ちにしようとするゼウ大将軍とラオの一騎打ちのシーンは、明らかに【荒野の用心棒】や【夕陽のガンマン】的な演出だ。(笑)
全編を見ると、SFと軍隊と西部劇がいい具合に混ざっていて、【戦略大作戦】のような爽快感を得られる。
なんか分らんが良いアニメだったなぁ~と思いながらエンドロールを見ていたら、「この人がモブ役を演じていると必ず良いアニメになる。」とオイラが勝手に思っている高橋伸也さんが、ちゃんと盗賊団員というモブ役を演じていたので、勝手に納得しながら映画館を出てきた一休なのであった。
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