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ビニールハウスのレントのネタバレレビュー・内容・結末

ビニールハウス(2022年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

綻び

ある一つの出来事をきっかけに、誤った選択をしたがためどんどん破滅へと進んでいってしまう。
人生において何をやっても裏目に出てしまうことがある。そんな負の連鎖を静かなトーンで描いた異色作。
予告編で感じるほどサスペンスフルな展開ではなく、結構静かに物語は進み、途中眠気に襲われるところも。

誤って死なせた奥さんの代わりに自分の母親を盲目の旦那さんにあてがうヘルパー。このシチュエーションを聞いただけでも、思わず笑ってしまいそうになるが、実際は全然笑えない。
正直に事の顛末を話せば旦那さんは理解してくれただろうし、罪にも問われなかったかもしれない。ましてや、旦那さんは妻との心中を図り、身代わりに自分の母親を殺されてしまうことに。
客観的に冷静に考えれば主人公の選択は間違っていたといえるけど主人公は自傷行為を繰り返すほど精神的にストレスを抱えた女性。あまりの事態に冷静な判断力を持ちえなかったのかもしれない。

苦心してやっと息子と暮らせる家を手に入れ、ビニールハウス生活ともおさらば。証拠となる奥さんの遺体もろとも焼いてしまうがそこには少年院を退所したばかりの息子たちが忍び込んでいた。
やっと幸せを手にするはずだったのに、なんという皮肉な結末。また助言をした同じ精神疾患を抱えた女性もその助言通り相手を死なせてしまい、警察には当然彼女からの助言に従ったと自供するだろうし。
主人公にとってすべてが裏目裏目へと。まさに救いようのないラスト。でもこういうのが結構好きではある。

不動産価格の高騰で韓国では実際にビニールハウスを住居としている人がいるという。
貧困、精神疾患などを患う社会的弱者、老後問題等々をうまく取り入れたヒューマンサスペンス。
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