海に行けばよかった

旅立ちの時の海に行けばよかったのレビュー・感想・評価

旅立ちの時(1988年製作の映画)
3.5
活動家で爆弾テロ犯の両親のもと、半年に一度引越しをして名前も変えるというスパイのような潜伏生活を送るリヴァー・フェニックスが、家族との生活と、ピアニストとしての夢や恋人との狭間で揺れ動くさまを繊細に、ときに情熱を爆発させるかのように演じる青春映画。
リヴァー・フェニックス、演技もピアノも上手いしキラキラしてるし、圧倒的な存在感だな。
同じように我が子との生活と、子どもだけは自由にさせてやりたいという思いの狭間で葛藤する両親や、母方の祖父も良いし、とにかく役者に恵まれた良作。
素朴だが楽しげな母の誕生日会のシーンの多幸感、リヴァーが彼女の部屋からハットを持って逃げ出すシーンのリリカルさ、リヴァーと彼女が愛を交わすシーンの絵になる美しさと、シーン一つひとつを切り取っても見応えがある。
車を頻繁に変えたり歯医者で活動資金をもらったりと、活動家のスパイかレジスタンスのような生活のディテールも、家庭の事情で夢や恋を押し潰されそうな青春という、端的にいえば陳腐な物語に緊張感を与えていて面白い。