このレビューはネタバレを含みます
本作を初めて観たのは、
まだ10代前半の頃。
真っ暗な部屋で当時14インチブラウン管のちっちゃなTV画面で迫り来る追走劇に目が釘付けになった記憶が今も甦る。
確か、金曜ロードショーだったかな。
煽り運転を繰り返すタンクローリー車と逃げ惑う普通車。ただそれだけの筋書きなのに。何故こんなに魅力があり、恐怖を感じさせる事ができるのか。理由は多分2つある。
理由1. 相手が分からない。
追走劇途中のガソスタやカフェで、犯人コイツじゃね?という伏線は何度かある。ただ肝心の全体像まで見せない所がミソ。
足元だけ、とかバックミラー越しのボヤけた残像。主人公と我々鑑賞者の心理を同一化させ、正にヒッチコック「裏窓」の演出に匹敵するような巧みな視線の仕掛けが張り巡らさせている。
理由2. 理由が分からない。
最後まで、追われる理由がまったくもって謎。こんな恐怖あるだろうか…これに関しては伏線が全くない所がポイントで、追われる理由を鑑賞者も一緒に想像してしまうのが、一番の心理効果なのかなと。
今ならドラレコで証拠も残るけどね。
ジワジワくる執念深い恐怖との闘い。
スピルバーグ作品の中では今でも1、2位を争うくらい完成度が高くお気に入り作品である事は間違いない。