Riisa24

トゥルーマン・ショーのRiisa24のレビュー・感想・評価

トゥルーマン・ショー(1998年製作の映画)
4.3
ジム・キャリーの体当たりな演技も、エキストラ含めた役者の怪演もすごい。
トゥルーマンのリアルな純粋さが、精巧に造られた"リアル"社会と多彩なアングルとで強調されている。
この対極的な要素の共存にゾワゾワした。
クラシックの選択も、コミカルなのにシリアスといった雰囲気を演出していて良かった。

はじめは、現代映像コンテンツを揶揄したメタ的映画なのかと思ったが、そうではなく、SNSや監視社会の残酷さをポップに描いた映画だった。
メタ視点ではなく視聴者だったモブは、一通りエンタメとして享受したあと即関心を失う。ひとひとりの人生が簡単に搾取され、しかもそれをただの一般人がコントロールしている。
SNSでたまに見る構造だが改めて非道な構図だと思った。

唯一の救いは両親でも幼馴染の親友でも愛する妻でもなく、良心の呵責に苛まれた一視聴者だった。
その事実に気付いたときのトゥルーマンはとても潔く素直で、憎しみとかより安堵と納得感が強いのかなと。それだけ違和感があったってのも可哀想だけど。
『Room』って映画みたいに、脱出後の人生もまたひとより苦難の多いものなんだろうけど、トゥルーマンなら平気かなと思ったり。
ボーッと見るのも考察するのも面白い映画だった。
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